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専用線は電話交換機に接続されていませんし、電力(直流)も供給されておらず、
ダイヤル・トーン、ビジー・トーン、着信信号もありません。つまりモデム自体が
これらの状態に対応していなければなりません。
同じ種類(ファームウエアのバージョンも)の外付けモデムを 2 つ用意してくだ
さい。専用線を利用することでき、ダム・モードを持ったモデムである必要が
あります。用意したモデムが本当にそうなのか、確かめてください! あなたの
持っているモデムがこのドキュメントに載っているかもしれません。
また下記も必要になります。
- 全てのピンに線が接続されているシールドされた RS232 ケーブルを 2 本。
シールドは、両端(片方だけではなく)のコネクタ・シェル(1 ピンにではなく)
に接続してあること
- RS232 のテスト用プラグは、テストの時に役に立つ
- RJ11 コードを 2 本。専用線の両端に使用する
- AT コマンドをある程度理解していること
このセクションでは、モデムの設定と一般的なモデムの初期化コマンドについて
解説します。モデムは minicom のようなソフトウエアを使って設定します。また
(m)getty を使って、最高速で通信ができるように設定します。モデム間の通信
速度が 14400 bps ならば モデムと端末間 は 57600 bps、28800 bps ならば
115200 bps というようにです。
初期化コマンドは往々にして長たらしく、複雑なものになりがちです。AT&F
からはじまって、それにメーカー固有のコマンドが続き、さらに機種固有のコマンド
が続きます。これが初期化を必要以上に複雑にしている原因です。
モデムの設定が同じならば、たいていのプログラムは動作します。ですから
それらのコマンドをモデムの不揮発メモリに書き込んでしまいましょう。そうすれ
ば、プログラムからはただ「ATZ」とするだけで初期化できるようになります。こう
しておけば、モデムを交換したりアップグレードしたとしても、ソフトウエアの
設定をいじらなくて済みます。
下記の設定をすることで、たいていのプログラムは動作します。
- ボー・レートを固定する(自動設定は不可)
- ハードウエアによる双方向の RTS-CTS フロー・コントロール
(X-ON/X-OFF は不可)を行う
- 8 ビット、ノン・パリティ、ストップ・ビットが 1 にする
- 相手側モデムのキャリアが検出されると CD 信号を有効にする(&C1)
- DTR(&D2 or &D3)の状態を監視するようにする
AT&V か AT&Ix として確かめてみてください(モデム付属のドキュメント
を調べてください)。
上記の設定は必ずしも工場出荷時のプロファイルの設定(&F)と同じものである
とは限りません。したがって最初に初期化を行う時に &F を使うことはあまり
おすすめできません。賢い &F の使い方は、不揮発メモリにあるモデムの設定
を台なしにしてしまった場合だけです。
モデムの正しい設定がわかったら、AT&W を使って不揮発メモリに書き込んで
から、十分にテストしてください。Z-modem を使ってテキスト・ファイルやバイナリ・
ファイルを転送してみてください。
テストの結果が完璧ならば、専用線でモデムを使うための設定はおしまいです。
次にモデムをダム・モードにする方法を調べましょう。大切なことはダム・
モードを解除する方法です。モデムの再設定はダム・モードでは行えないからです。
モデムが、本当に最高速度で通信できる設定になっていますか?
一度ダム・モードになってしまうと、「AT」コマンドはまったく効かなくなります。
つまり COM ポートの速度との調整ができなくなり、モデムに設定済みの速度を
使って接続することになります(AT&W で S レジスタに書き込まれた速度です)。
それでは次の手順で、モデムの設定をしていきましょう。
- DTR の状態が変化するとリセットを行う(&D3 。S レジスタに設定
される場合がある)。ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)によって
は必要になる
- 専用線モードにする(&L1 か &L2。モデム付属のドキュメントを
参照のこと)
- 相手側のモデムは自動着信(S0=1)し、こちら側のモデムは自動着信しない
(S0=0)
- リザルト・コードを表示しない(Q1。ダム・モードにするとこの設定になる
場合あり)
- ダム・モードにする(\D1 か %1。ジャンパーで設定する場合
あり)。
ダム・モードでは AT コマンドがまったく利用できない(ESC キャラクタも
無効にする必要があるかもしれない)
上記の設定を不揮発メモリに書き込んでください(&W)。
それでは RS232 ケーブルを使って 2 つのコンピュータにモデムを接続して、
モデム間を RJ11 で接続してみましょう。Minicom(Linux)や procom、telix(DOS)
などのモデムを制御できるプログラムを両方のコンピュータで使用して、モデムを
テストします。
片方のコンピュータから相手側にテキストを入力したり、相手側からも同じように
やってみてください。文字化けが起こるようであれば、COM ポートの速度やその他の
設定を確認してください。
以上が終ったら、一度 RJ11 を抜いて、再び挿してみてください。自動的に再接続
するまで待ちましょう。RS232 ケーブルも同じようにしてください。モデムの
電源の ON OFF や Minicom を終了させてからまた動かすといったことも試してくだ
さい。
モデムは上記のいずれの場合にも、自動的に最高速度で再接続するはずです(速度
表示用 LED が付いているモデムもあります)。
モデムが本当に ESC キャラクタ(+++)を無視するかを確かめてください。もしそう
でなかったら、ESC キャラクタを無効にしてください。
完璧に動作したら、モデムを再設定してもかまいません。相手側のモデムの音を
切って(M0)、こちら側は最小の音(L1)にしましょう。
- Hi-Tech
これは「ノーブランドの互換モデム」と言ってもいいものです。
下記は典型的な設定で、たいていのモデムはこれで動作するはずです
- 手動着信(こちら側)
ATL1&C1&D3&L2%D1&W&W1
- 自動着信(相手側)
ATM0L1&C1&D3&L2%D1S0=1&W&W1
- Tornado FM 228 E
これでうごくはずです
- 手動着信(こちら側)
ATB15L1Q1&C1&D3&L2&W&W1
- 自動着信(相手側)
ATM0B15M0Q1&C1&D3&L2S0=1&W&W1
ダム・モードを設定するジャンパを 2-3 から 1-2 に変更
ファームウエアのバグで DTR が ON になっても、ハードウエア・リセット(電源の
ON/OFF)をしないと接続できません。私はある
回路を設計して、DTR が OFF から ON に移った時に、モデムをハード
ウエア・リセットするようにしました。しかしこの回路では FreeBSD の pppd はうまく
動作しません。この問題を回避するには、この
回路を使って ON から OFF に状態を移行させて &D0 してください。
- Tron DF
ESC キャラクタを無効にするには、S2 レジスタを 128 以上に設定
すること
- 手動着信
ATL1&L1Q1&C1&D3S2=171\D1&W
- 自動着信
ATM0&L2Q1&C1&D3S0=1S2=171\D1&W
- US Robotics Courier V-Everything
この情報は
Rolf Raar 氏
から寄せられた情報に基づいています。
US Robotics の Sportster と Courier-I は専用線をサポートしていません。専用線
を使うなら、Courier V-everything を使用すること。
US Robotics の Web サイトのあるページで Courier V-everything を専用線で利用
する方法を「解説」しています。しかしこの解説通りにやっても、モデムが機能不全
になるだけで pppd からモデムを制御することも、監視することもできません。
US Robotics の Courier はディップ・スイッチで設定ができます。しかしまず初期
化コマンドで設定する必要があります。
まず最初に工場で設定済みのプロファイルの中から、適切なプロファイルを選択
したかを確認すること。他のおおかたのモデムとは異なり、Courier は 3 つの
プロファイル &F0、&F1、&F2 を持っています。&F1 が選択すべき
プロファイルになるが、AT&F した時にロードされてしまうのは &F0
に入っているプロファイルです!
こうしてしまうと、DTR の切替えをリセットする S レジスタ 13 を 0 に設定して
しまいます。本当は 1 に設定しなければいけません。しかも専用線モードにするため、
&L1 も設定しなければいけません。
ATS13=1&L1&W
ディップ・スイッチでデフォルト値から変更する必要のあるものは下記の通りです。
- 3
「リザルト・コードを表示しない」は OFF になっている
- 4
「オフライン・コマンドを使用不可」は ON になっている
- 5
「手動着信 が ON で 自動着信」は OFF になっている
- 8
「ダム・モード」は OFF になっている
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