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18. 接続を自動化するには - 接続用スクリプトの作り方chat を使った接続用のスクリプトを作れば、chat がログインして PPP を起動 するまで自動的に行うので、必要な作業は(ルート、あるいは ppp グループの メンバーになって)接続のためのコマンドを一つ入力するだけになります。 18.1 ユーザ名とパスワードをつかった認証の場合接続先の ISP が PAP/CHAP 認証を必要としない時、以下のスクリプトが使え るでしょう。 ppp パッケージが正しくインストールされていれば 2 つのファイルがあらか
じめサンプルとして用意されているはずです。PPP 2.1.2 の場合、そのファイ
ルは PPP-2.1.2 の場合、
PPP-2.2 の場合
となっています。 さて、PPP 2.1.2 を使っている場合、上記のサンプルファイルは削除してしま うことを強くお勧めします。これらのサンプルファイルには潜在的な問題があ りました - 「でもちゃんと動くよ」、と言わないで - 私も、それらのファイ ルを長い間使っていましたから(この HOWTO の最初のバージョンでは推薦すら していたのです) PPP 2.1.2 のユーザのために、以下に PPP 2.2 のパッケージから持ってきた よりよいサンプルファイルを紹介します。以下のサンプルファイルをコピーし て、PPP-2.1.2 に付属のスクリプトの代りに使うようにお勧めしま す。 18.2 ppp-on スクリプトこれは PPP 接続を開始するための 2 本のスクリプトのうち前半のものです。
#!/bin/sh # # PPP 接続を開始するためのスクリプト。2 つのスクリプトのうちの 1 つめ。 # このコードは 'ps' コマンドで表示されてしまうのであまり安全ではないが、 # 簡単。 # # これらのパラメータは実際の値に変更すること TELEPHONE=555-1212 # 接続のための電話番号 ACCOUNT=george # ログイン・アカウント('George Burns'の例) PASSWORD=gracie # 上記アカウントのパスワード('Gracie Allen') LOCAL_IP=0.0.0.0 # ローカルの IP 番号。動的割りあての場合は 0.0.0.0 REMOTE_IP=0.0.0.0 # 接続先の IP 番号。普通 0.0.0.0。 NETMASK=255.255.255.0 # 必要ならばネットマスクの指定 # # ppp-on-dialer から使えるように変数を export export TELEPHONE ACCOUNT PASSWORD # # 電話をかけてログイン処理をするスクリプトの位置。$PATH 変数は connect # オプションでは使われないので絶対パスを指定すること(ルート権限でそうす # るとセキュリティホールになるので、この件については要望しないこと) # DIALER_SCRIPT=/etc/ppp/ppp-on-dialer # # 接続の開始 # exec /usr/sbin/pppd debug /dev/ttySx 38400 \ $LOCAL_IP:$REMOTE_IP \ connect $DIALER_SCRIPT ppp-on-dialer スクリプトはこのようになります。 #!/bin/sh # # ppp-on スクリプトの後半部。実際の接続プロトコルを送る部分 # chat -v \ TIMEOUT 3 \ ABORT '\nBUSY\r' \ ABORT '\nNO ANSWER\r' \ ABORT '\nRINGING\r\n\r\nRINGING\r' \ '' \rAT \ 'OK-+++\c-OK' ATH0 \ TIMEOUT 30 \ OK ATDT$TELEPHONE \ CONNECT '' \ ogin:--ogin: $ACCOUNT \ assword: $PASSWORD 18.3 PPP 起動スクリプトの修正新しいスクリプトは 2 つに分かれているので、順に修正してみましょう。 ppp-on スクリプトスクリプトを修正して、ISP から貰ったユーザ名とパスワードを登録します。 ISP の電話番号も忘れずに変更してください。
また、IP 番号の設定が必要な場合、 $LOCAL_IP:$REMOTE_IP \ の行を削除します。 同時に DIALER_SCRIPT シェル変数が実際にダイアルするためのスクリプトの
絶対パスを指定していることを確認してください。もしダイアルのためのスク
リプトを移動させたり名前を変えた場合は
起動時に /etc/rc.serial でシリアルプートの設定は終えているかも知れませ んが、ppp-on スクリプトの中で明示的にシリアルポートを設定するのもいい アイデアです。そうしておけば、モデムを(シリアルポートの設定をリセット するかも知れない)他のプログラムで安心して使うこともできます。 そのためには実際に pppd を開始する行の直前に以下の一行を加えます。
/bin/setserial /dev/cuaX spd_vhi spd_vhi オプションを設定しておけば、38,400 ボーで使おうとした時に、実 際には 115,200 ボーで接続することになります。28.8k(以上の)高速モデムの 場合、このように設定しておくのがいいでしょう。しかしながら、多くの 14,400 ボーのモデムはコンピュータとデータをやりとりするシリアル回線を このようなスピードでは処理できないようです。 モデムのマニュアルをチェックして、モデムのシリアル回線の最高速が 38,400 の場合、以下のように設定します。
/bin/setserial /dev/cuaX spd_normal サーバ側での PPP の開始ppp-on-dialer スクリプトは、ログインすれば pppd を自動的に起動するサー バで有効ですが、ログインしてから明示的に PPP を起動しなければならない サーバもあります。 サーバの PPP を起動するのに何らかのコマンドが必要な場合、ppp-on-dialer スクリプトを修正する必要があります。 スクリプトの最後(パスワードの行より後)に、サーバの PPP を起動するため に 必要な文字列 PPP起動コマンド の対を追加してください。PPP 起動コマンドを実行する際の文字列はログインプロンプトにします(Bourne シェ ルで特別な意味を持つ文字 - 例えば $や [ ] に注意してください) こうしておけば、chat がシェルのプロンプトを受けとれば、ISP の PPP を起 動するためのコマンドを実行します。 私の場合、PPP サーバは標準的な Bash のプロンプト
[hartr@kepler hartr]$ を送ってくるので、この文字列を受ければ
ppp と入力して、サーバの PPP を起動します。 少々文字がバケても正しく認識できるようにしておいた方がいいので、私の場 合、以下のような<文字列 送信コマンド>の組み合わせを選びました。
hartr--hartr ppp この例では一定の時間内にプロンプトを受けとれなかった場合、キャリッジリ ターンを送って、再度プロンプトを待ちます。 プロンプトを受けとれば、'ppp' という文字列を送ります。 注意:付け加えた行の前の行の行末に \ を付けて chat スクリプト全体が一 行とみなされるようにしておくことを忘れないように。 不幸なことに、接続のたびごとに異なるプロンプトを返してくるサーバもいく つかあります。そのような場合、minicom などを使って何度かサーバにログイ ンして、どのような文字列がプロンプトに使われ、そのうちのどの部分が一定 で PPP を起動するための文字列に利用できるかを調べておく必要があります。 ppp-on-dialer スクリプトこれは ppp 接続を開始するためのスクリプトの後半部です。 注意:chat スクリプトは通常一行です。行末についているバックスラッシュ (\)は(人間に見やすいように)複数行に分かれている行を一行に見せるた めに使われており、スクリプトの一部ではありません。 このコマンドを詳細に検討すれば実際に何が行われているか(行われるはずか) を理解できるはずです。 18.4 chat スクリプトの意味するものchat のスクリプトは "受けとった文字列 送信する文字列"の組 み合わせを連ねたものです。すなわち、何か文字列を送信する前には何かの文 字列を受けとらなければなりません。 文字列を受けとらなくても、こちらから何かを送信するためには、空の文字列
( 今回の例での chat スクリプトは :-
この chat スクリプトにはそれなりのエラー復旧機能が組みこまれていますが、
chat にはここで説明した以上にもいろいろな機能がありますので、詳細につ
いてはマニュアルを御覧ください( 18.5 PAP/CHAP 認証を使う場合のスクリプト接続先の ISP が PAP/CHAP 認証を使う場合、chat スクリプトはずっと簡単に なります。その場合、chat は電話をかけてつながるまで待つだけで、その後 の login 処理は pppd にまかせます。
#!/bin/sh # # ppp-on スクリプトの後半部。 exec chat -v \ TIMEOUT 3 \ ABORT '\nBUSY\r' \ ABORT '\nNO ANSWER\r' \ ABORT '\nRINGING\r\n\r\nRINGING\r' \ '' \rAT \ 'OK-+++\c-OK' ATH0 \ TIMEOUT 30 \ OK ATDT$TELEPHONE \ CONNECT '' 18.6 pppd のデバッグと -f で指定するオプションファイルすでに見たように、pppd に -d オプションを付ければデバッグ情報が出力さ れるようになります。'debug' というオプションは -d と同じです。 新しいスクリプトで接続のテストをするのですから、今のところ debug オプ ションは付けたままにしておきましょう。(注意:pppd がやりとりする login 情報はあっというまに syslog ファイルを巨大にするので、ディスクの空き領 域が厳しい場合はトラブルを起こすかも知れません。もっとも、そうなるため には接続に失敗してしばらくの間あれこれ pppd をこねくり回す必要があるで しょうが。) すべてがきちんと動いていることが確認できたらデバッグオプションを取りの ぞきましょう。 ppp のオプションファイルを
exec /usr/sbin/pppd debug -f options.myserver /dev/ttySx 38400 \ 次のページ 前のページ 目次へ |
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