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マルチポートシリアルカードは PC の ISA バスまたは PCI バスのスロッ
トに設置します。「…カード」と呼ぶ代わりに、「…アダプタ」や「…ボード」
と呼ばれることもあります。このようなカードを使うと、シリアルポートをた
くさん使うことができます。今日では、マルチポートシリアルカードは(企業
や家庭における自動化を含めて)外部デバイスの制御に一般的に使われていま
す。マルチポートシリアルカードは、遠隔地からコンピュータサーバを監視/
制御するためにコンピュータサーバに接続できます。
これはかつては主としてたくさんの端末やモデムを
シリアルポートに接続するために使われていました。
こういった使い方もまだされていますが、マルチポートシリアルカードを
モデムと組み合わせて使うと、普通のモデムの場合と同じ制限を受けます。
つまり、モデムが 56K モデムであっても、接続速度は 33.6K を超えることが
できません。
したがって、誰かがあなたに電話をかけ(そして、カードに挿さったモデムか
らあなたのマルチポートシリアルカードに接続し)た場合、たとえ 56K モデム
を使っていたとしても、どちらの向きの通信速度も 33.6K を超えることはで
きません。ダイアルイン接続で 33.6K を超えるためには、電話線がデジタル
接続になっている必要があります。この場合、シリアルポートはもう関係なく
なります。したがって、マルチポートシリアルカードは今では ISP や
外部から 56K(33.6K 以上で)ダイアルイン接続をさせる必要がある人が使うに
は時代遅れのものになりました。詳しくは Modem-HOWTO の「Modem Pools」と
「Digital Modem」の節を見てください。
各種マルチポートカードにはたくさんの外部コネクタ(DB-25 または
(電話線のような)RJ-45)がついており、たくさんのデバイス(モデム、端末
など)を接続できます。それから、こういった物理デバイスはそれぞれ
各自のシリアルポートに接続されます。カードの外に面している部分の面積は
限られているため、全てのシリアルポートコネクタに対して十分な空間が取れ
ないこともよくあります。この問題を解決するために、コネクタはカードから
(外部に)延びているケーブル(タコ足ケーブル)の端に繋がれることがあります。
こういったコネクタはマルチポートカードとケーブルで繋がっている小さな箱
に接続されることもあります。
ダムシリアルポートも通常のシリアルポートとあまり変わりません。ダムシリ
アルポートも割り込み駆動であり、このポートにサービスする動作のほとんど
全てはコンピュータの CPU が行います。これには普通、1 つの割り込みを全
てのポートで共有するためのシステムが付いています。だからといって CPU に
かかる負荷が減るわけではありません。なぜなら、いずれかのポートがサービスを
必要とするたびに CPU に割り込みがひとつ送られるからです。こういった
デバイスは通常は特殊なドライバを必要とします。ドライバはカーネルに組
み込むか、ソースコードの修正によって有効にしなければなりません。
賢いボードは通常の UART を使えますが、UART からの割り込みのほとん
どをボード内で内部的に処理します。これにより、CPU はこういった割り込み
の全てを扱うという負荷を逃れることができます。このボードはバイトデータ
を大きな内部 FIFO に蓄え、一度に 1K バイトくらいのデータをメインメモリ
上のシリアルバッファに転送します。メインメモリへのデータ転送を行う際に
は、(ダムシリアルカードのように 8 ビットのバイトだけを転送するのではな
く)32 ビットのバス幅を全て使うことができます。必ずしも全ての「賢い」
ボードが同じように効率的なわけではありません。現在の多くのボードはプラ
グ&プレイ対応です。
賢いボードを動かすためには、専用のドライバを使わなければなりません。
このドライバはカーネルのソースコードに組み込まれていたり、モジュールと
して提供されることもあります。こういった場合でも、ドライバを有効にする
には何かしなければなりません。その作業には、カーネルのコンパイル時に
選ぶこと(または、予めコンパイルされているカーネルがそうなっているかど
うかを確かめること)が含まれます。"make config" コマンドか
"make menuconfig" コマンドを使うと、このオプションがどのように設定され
ているかを確かめることができます。場合によっては、特殊なドライバを
ロードしたり、特定のパラメータを(LILO の append コマンドを使って)
カーネルに渡すこともあります。ボードのメーカーは、このような情報を自社
のウェブサイトに載せているはずです。残念ながら、古いボードの情報がない
ことも時々ありますが、その情報はインターネット上の他の場所で見つけられ
るかもしれません(議論用のニュースグループを含みます)。
マルチポートボードが使うシリアルポートは、お使いのボードの種類によって
異なります。一部のポートは rc.serial や 0setserial
に詳しく列挙されているかもしれません。これらのファイルは
setserial パッケージまたは serial パッケージに入っているかもしれません。
筆者としては、読者の皆さ
んがマルチポートボードを使おうとしているのなら、最新バージョンの
setserial を入手することを強くお勧めします。また多分、これらのデ
バイスを作成する必要があるでしょう。作成には mknod コマンドか
MAKEDEV スクリプトを入手してください。シリアルポート用のデバイス
(/dev ディレクトリにある)は、「64 + ポート番号」の足し算で作れます。
したがって、ttyS17 用のデバイスを作成したければ、以下のコマン
ドを実行します:
linux# mknod -m 666 /dev/ttyS17 c 4 81
ttyS デバイスの「メジャー」番号は必ず 4 である点(そして、5 は時代遅れ
の cua デバイスの番号である点)に注意してください。
また「64 + 17 = 81」にも注意してください。
MAKEDEV スクリプトを使う場合には以下のコマンドを実行します:
linux# cd /dev
linux# ./MAKEDEV ttyS17
本 HOWTO に書かれているマルチポート製品の一覧以外にも、
Gary's Encyclopedia - Serial Cards という WWW ページがあります。これは完全
ではありませんが、他へのリンクもいくつかあります。
昔は PC にはシリアルカードが独立して挿さっていました。少し前は
シリアル機能はハードディスクのインタフェースカードに組み込まれていまし
た。現在は、普通は一つまたは二つのシリアルポートがマザーボードに組み込
まれています。しかし、追加のシリアルポートが 1 つから 4 つ必要な場合は
今でも PC 用の旧式のシリアルカードを買えるでしょう。これらは
ttyS0-ttyS3 (COM1 - COM4)として使います。これらを使って外付けシリアル
デバイス(モデム、シリアルマウス等)を接続できます。
小売のコンピュータショップでこういったカードを扱っているのはごく一部だ
けです。しかし、インターネットを通じて購入することもできます。PCI の
シリアルカードを買う前には、Linux が対応していることを確かめましょう。
有名なブランドをいくつか紹介します:
注意: アドレスが衝突するため、COM4 と IBM8514 ビデオカード(など)は同時
に使えないかもしれません。
特定のビデオボードでの I/O アドレスの衝突を避ける方法
をご覧ください。
以下のボードは「シリアルアダプタ」とも呼ばれます。これらのカードは、
対応機能をカーネルにコンパイルして組み込む必要がある特殊な方法を使って
割り込みを共有していることがよくあります。
* => Debian では setserial を実行するファイルが、詳細な設定を表示します。
# => このボードについては後述の注を見ること
- AST FourPort およびその互換カード (4 ポート) * #
- Accent Async-4 (4 ポート) *
- Arnet Multiport-8 (8 ポート)
- Bell Technologies HUB6 (6 ポート)
- Boca BB-1004 (4 ポート), BB-1008 (8 ポート), BB-2016 (16 ポート;
mini-howto 文書があります) * #
- Boca IOAT66 あるいは? ATIO66 (6 ポート、確かめていませんが Linux
では IRQ 共有に対応していません。RJ45 に似た、特殊な 10-ピンコネクタを
使います)
- Boca 2by4 (4 シリアルポート、2 パラレルポート)
- Byte Runner
http://www.byterunner.com
- Computone ValuePort V4-ISA (AST FourPort 互換) *
- Digi PC/8 (8 ポート) #
- Dolphin
http://www.dolphinfast.com/sersol/
- Globetek
http://www.globetek.com/
- GTEK BBS-550 (8 ポート; mini-howto 文書があります)
- Hayes ESP (カーネル 2.1.15 以降)
- HUB-6 (Bell Technologies に問い合わせてください)
- Longshine LCS-8880, Longshine LCS-8880+ (AST FourPort 互換) *
- Moxa C104, Moxa C104+ (AST FourPort 互換) *
-
NI-SERIAL, National Instruments 製
- PC-COMM (4 ポート)
-
Sealevel Systems
COMM-2 (2 ポート), COMM-4 (4 ポート), COMM-8 (8 ポート)
- SIIG I/O Expander 2S IO1812 (4 ポート) #
- STB-4COM (4 ポート)
- Twincom ACI/550
- Usenet Serial Board II (4 ポート) *
一般的には、Linux は 8250, 16450, 16550, 16550A, 16650 などの UART を
使っている全てのボードに対応しています。もっと詳しいリストについては、
"setserial" の最新のマニュアルページを参照してください。
注:
AST Fourport: rc.serial で skip_test を指定する必要があるか
もしれません。
BB-1004 と BB-1008 は DCD, RI ラインをサポートしておらず、そのためダイ
アルイン用のモデムには使えません。他の目的では問題なく動作します。
Digi PC/8 の割り込み状態レジスタの位置は 0x140 です。
SIIG IO1812 のマニュアルに書かれている COM5 から COM8 のリストは誤って
います。正しくは COM5=0x250, COM6=0x258, COM7=0x260, COM8=0x268 のはず
です。
Linux 互換のドライバが使えることを確かめ、ドライバ付属の情報を読んで
ください。これらのカードは、標準のデバイスでなく特殊なデバイス(/dev ディ
レクトリにある)を使います。この情報はハードウェアごとに異なります。こ
の文書に載せるべき新しい情報があれば、ぜひ筆者にメールを送ってください。
Linux のドライバモジュールの名前は *.o ですが、これらは全てのモデルで
正しく動作するとは限りません。また、(I/O アドレスや IRQ 等の)パラメータ
をモジュールに与える必要があることも多いので、それに関する説明を見つけ
る必要もあります(ソースコードツリーの中にあるかもしれません)。
マルチポートカードのブランドはたくさんあり、それぞれから色々な種類のカー
ドがよく出されます。
今のところ、これらのカードをここで網羅しようとはしていません(また挙げ
ているものの多くは時代遅れになっているかもしれません)。
したがって、このリストはマルチポートカードやそ
のブランドについて古いものと新しいものがごっちゃになっています。
ウェブページから分かる場合には連絡先は削除しました。
ドライバに関する情報も同じウェブページで見つかるはずです。
ウェブページを紹介していない場合、そのカードはたぶん古いと思います。
リストをよりよくするために情報を追加したいと思う方は、筆者にお知らせく
ださい。
- Chase Research (UK ベース、ISA/PCI カード)
ウェブページ:
http://www.chaser.com
ドライバのステータス: 2.2 カーネル用。Chase がサポートしています。
- Comtrol RocketPort (36MHz ASIC; 4, 8, 16, 32 ポート、128 ポートまで)
ウェブページ:
http://www.comtrol.com
ドライバのステータス: Comtrol 社がサポートしています(rocket.o)。
ドライバの入手先:
ftp://tsx-11.mit.edu/pub/linux/packages/comtrol
- Computone IntelliPort II (ISA, PCI, EISA バス用。64 ポートまで)
ウェブページ:
http://www.computone.com
ドライバの入手先:
ftp://ftp.computone.com/PUB/Products/IntelliPortII/Linux/,
パッチは
http://www.wittsend.com/computone/linux-2.2.10-ctone.patch.gz
にあります。
メーリングリスト: 本文に "subscribe linux-computone" と書いたメール
を
mailto:majordomo@lazuli.wittsend.com に送ります。
注意: Computone は、古い ATvantage カードや IntelliPort カードをサポー
トしていません。
- Connecttech
ウェブサイト:
http://www.connecttech.com/porducts/products.html
ドライバの入手先:
ftp://ftp.connecttech.com/pub/linux/
- Cyclades
Cyclom-Y (Cirrus Logic CD1400 UART; 8 - 32 ポート),
Cyclom-Z (MIPS R3000; 8 - 64 ポート)
ウェブサイト:
http://www.cyclades.com/products.html
ドライバのステータス: Cyclades がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://ftp.cyclades.com/pub/cyclades 。また、バージョン
1.1.75 以降の Linux カーネルに含まれています: cyclades.o
- Decision PCCOM8 (8 ポート)
連絡先:
mailto:info@cendio.se
ウェブサイト: なし(消滅)
ドライバの入手先:
ftp://ftp.signum.se/pub/pccom8
- Digi PC/Xi (12.5MHz 80186; 4, 8, 16 ポート),
PC/Xe (12.5/16MHz 80186; 2, 4, 8 ポート),
PC/Xr (16MHz IDT3041; 4, 8 ポート),
PC/Xem (20MHz IDT3051; 8 - 64 ポート)
ウェブサイト:
http://www.dgii.com
ドライバのステータス: Digi 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://ftp.dgii.com/drivers/linux でも入手できますし、バー
ジョン 2.0 以降のカーネルにはドライバが含まれています(epca.o)。
- Digi COM/Xi (10MHz 80188; 4, 8 ポート)
連絡先: Simon Park さん,
si@wimpol.demon.co.uk
ドライバのステータス: 不明。
注意: Simon さんは仕事のため、何ヵ月も続けて電子メールが使えなくなることが
よくあります。 Mark Hatle さん(
mailto:fray@krypton.mankato.msus.edu
)のご厚意により、ドライバが必要ならば入手できるようになっています。
Mark さんはドライバのメンテナンスやサポートは行いません。
- Equinox SuperSerial Technology (30MHz ASIC; 2 - 128 ポート)
ウェブサイト:
http://www.equinox.com
ドライバのステータス: Equinox 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://ftp.equinox.com/library/sst
- Globetek
ウェブサイト:
http://www.globetek.com/products.shtml
ドライバの入手先:
http://www.globetek.com/media/files/linux.tar.gz
- GTEK Cyclone (16C654 UART; 6, 16, 32 ポート),
SmartCard (24MHz Dallas DS80C320; 8 ポート),
BlackBoard-8A (16C654 UART; 8 ポート),
PCSS (15/24MHz 8032; 8 ポート)
ウェブサイト:
http://www.gtek.com
ドライバのステータス: GTEK 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://ftp.gtek.com/pub
- Hayes ESP (COM-bic; 1 - 8 ポート)
ウェブサイト:
http://www.nyx.net/~arobinso
ドライバのステータス: バージョン 2.1.15 (1998年)以降の Linux カーネル
は対応しています(esp.o)。setserial 2.15 以降も対応しています。
作者もサポートしています。
ドライバの入手先:
http://www.nyx.net/~arobinso
- Multi-Tech Systems 製のインテリジェントシリアルインタフェース
PCI 版は 4 または 8 ポート。 ISA 版は 8 ポート。DTE 速度は 460.8K。
ウェブページ:
http://www.multitech.com/products/
- Maxpeed SS (Toshiba; 4, 8, 16 ポート)
ウェブサイト:
http://www.maxpeed.com
ドライバのステータス: Maxpeed 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://maxpeed.com/pub/ss
- Microgate SyncLink ISA/PCI 高速マルチプロトコルシリアルカード。
同期 HDLC 用です。
ウェブサイト:
http://www.microgate.com/products/sllinux/hdlcapi.htm
ドライバのステータス: Microgate 社がサポートしています(synclink.o)。
- Moxa C218 (12MHz 80286; 8 ポート),
Moxa C320 (40MHz TMS320; 8 - 32 ポート)
ウェブサイト:
http://www.moxa.com
ドライバのステータス: Moxa 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
http://www.moxa.com/support/download/download.php3>
ftp://ftp.moxa.com/drivers/linux
(台湾からは www.moxa.com.tw/... も使えます。「...」の部分は上記と同じです。)
- SDL RISCom/8 (Cirrus Logic CD180; 8 ポート)
ウェブサイト:
http://www.sdlcomm.com
ドライバのステータス: SDL 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://ftp.sdlcomm.com/pub/drivers
- Specialix SX (25MHz T225; 8? - 32 ポート),
SIO/XIO (20 MHz Zilog Z280; 4 - 32 ポート)
ウェブページ:
http://www.specialix.com/products/io/serialio.htm
ドライバのステータス: Specialix 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
http://www.BitWizard.nl/specialix/
古いドライバの入手先:
ftp://metalab.unc.edu/pub/Linux/kernel/patches/serial
- Stallion EasyIO-4 (4 ポート), EasyIO-8 (8 ポート),
EasyConnection (8 - 32 ポート) - これらには
Cirrus Logic CD1400 UART が載っています。
Stallion (8MHz 80186 CPU; 8, 16 ポート),
Brumby (10/12 MHz 80186 CPU; 4, 8, 16 ポート),
ONboard (16MHz 80186 CPU; 4, 8, 12, 16, 32 ポート),
EasyConnection 8/64 (25MHz 80186 CPU; 8 - 64 ポート)
連絡先:
sales@stallion.com または
http://www.stallion.com
ドライバのステータス: Stallion 社がサポートしています。
ドライバの入手先:
ftp://ftp.stallion.com/drivers/ata5/Linux から入手できま
す。また、バージョン 1.3.27 以降の Linux カーネルに含まれています。
- System Base
ウェブサイト:
http://www.sysbas.com/
Comtrol 社, Cyclades 社, Digi 社, Stallion 社の製品のレビューが
Linux Journal 誌の 1995 年 6 月号に掲載されています。この記事は
http://www.ssc.com/lj/issue14 で読むことができます。
2000 年 1 月 1 日現在、以下のボードは Linux でのサポートが
全く謳われていません。状況が変化していたらお知らせください。
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