次のページ 前のページ 目次へ

7. 中国語印刷ソフトウェア

7.1 LaTeX + CJK

TeX/LaTeX印刷ソフトウェアセットです(訳注:正確には組版システムです)。 その美しく質の高い出力から数年来、学術機関で採用されてきました。 CJKはLaTeX2eマクロパッケージです。TeXドキュメントのCJK (Chinese/Japanese /Korean)リテラルコードを使うことができます。

まずはじめにLinuxシステムにTeX/LaTeXをインストールする必要があります。 多くのLinux配布パッケージにはすでにteTeX/LaTeXが含まれています。もし なければ自分でインストールします。詳しくは teTeX HOWTOを参照して下さい。

訳注:中野武雄 nakano@apm.seikei.ac.jpさんが書かれた 「pLaTeX2e installation mini-HOWTO」も参照しましょう。JFサイトに あります。

このソフトウェアの入手

以下のサイトからCJK 4.1.2を入手します:

ftp://nctuccca.edu.tw/Chinese/ifcss/software/tex/CJK-4.1.2.src.tar.gz

TTFフォントホームページ:

ftp://nctuccca.edu.tw/Chinese/ifcss/software/fonts/big5/ms-win/

インストール

teTeX/LaTeXをインストールしたディレクトリについて知っておいて下さい。 例えば$TEXMF/usr/lib/texmfです。ntu_kai.ttf フォントを使っているものとします。別のフォントを使っている場合は適当に 置き換えて読んでいって下さい。

  • ダウンロードしたフォントを$TEXMF/fonts/truetype/chinese に置きます( decompression章を参照)。
  • CJK-4.1.2.src.tar.gzをUnzipしてuntarします。texinputサブディレクトリ を$TEXMF/tex/latexに移動して、CJKに名前を変更します。 フォントディレクトリを作ります。
    # cd 4_1.2/; mv ./texinput $TEXMF/tex/latex/CJK
    # mkdir -p $TEXMF/fonts/tfm/chinese/ntukai
    # mkdir $TEXMF/ttf2pk
    # mkdir $TEXMF/hbf2gf
    
  • ここからはおそらく一番難しい段階です。4_1.2/doc/teTeX以下の*.diff を以下のファイルにpatchコマンドを使って当てます:
      /usr/bin/MakeTeX*
      $TEXMF/web2c/texmf.cnf
      $TEXMF/fontname/special.map   
    

    例えば:

    # cd /usr/bin
    # patch -s < 4_1.2/doc/teTeX/MakeTeXPK.diff
    

    TeXバージョンはとても大きいので、patchは失敗するかもしれません。 もしパッチが失敗したら直接手で失敗した箇所を直しておきます(失敗したパッチ は.rejファイルに保存されます)。もしpatchの意味がわからない場合は、 誰かわかる人に聞いてみて下さい。

  • bg5convをコンパイル、インストールします。
    # cd 4_1.2/utils/Bg5conv; gcc -o bg5conv bg5conv.c
    # chmod 755 bg5latex
    # cp bg5conv bg5latex /usr/local/bin/
    # gzip bg5conv.1; cp bg5conv.1.gz /usr/local/man/man1/   
    

    BIG5のあるコードがあり、TeXドキュメントは{, }, & などTeXの特殊なトークンから成ります。bg5convはこのコードをTeXで操作でき る特定のフォーマットに変換します。

  • TrueTypeフォントをTeXのPKフォントに変更するttf2pkをコンパイル、 インストールします。
    # cd 4_1.2/utils/ttf2pk/src
    # make all OS=unix
    # cp ttf2pk /usr/local/bin/
    # cd ..
    # cp config/ttf2pk.cfg  $TEXMF/ttf2pk/
    # gzip ttf2pk.1; cp ttf2pk.1.gz /usr/local/man/man1/
    # cp c00kai.fd $TEXMF/tex/latex/CJK/Bg5/
    # cp MakeTTFPK /usr/local/bin
    
  • 縦方向にドキュメントを印刷する場合は$TEXMF/tex/latex/CJK/Bg5/ 以下のc00kair.fdファイルを編集します:
    \def\fileversion{4.1.0}
    \def\filedate{1996/11/20}
    \ProvidesFile{c00kair.fd}[\filedate\space\fileversion]
    
    % traditional Chinese characters in Big 5 encoding scheme.
    
    % font shape: kai
    % ntu_kai.ttf is Kai3 Shu1 (&quotmodel book")
    
    \DeclareFontFamily{C00}{kair}{}
    
    \DeclareFontShape{C00}{kair}{m}{n}{<-> CJK * ntukar}{}
    \DeclareFontShape{C00}{kair}{bx}{n}{<-> CJKb * ntukar}{\CJKbold}
    
    \endinput
    

  • texconfigを実行します:
    # texconfig rehash
    # texconfig hyphen
    

テスト

  • 横方向の印刷のテスト:
    # cd 4_1.2/examples
    # bg5latex Big5.tex       (Big5.dviが出来ましたか?)
    # xdvi Big5.dvi           (中国語を見ることができましたか?もちろんXモードです)
    # dvips Big5.dvi -o Big5.ps  (PostScriptフォーマットに変換します)
    # ghostview Big5.ps          (ghostviewで閲覧します)
    # lpr Big5.ps             (中国語を印刷できるかどうかプリンタに出力してみます)
    
  • 縦方向の印刷テスト:examples以下のBig5vert.texを使って 上記した手順を繰り返します。

新しいフォントの追加

例えばMingスタイルフォントntu_mm.ttfに変更する時は

  • $TEXMF/fonts/truetype/chineseにTrueTypeフォントに置きます。
  • $TEXMF/ttf2pk/ttf2pk.cfgに以下2行を追加します:
    ntumm:  -e Big5 $TEXMF/fonts/truetype/chinese/ntu_mm.ttf
    ntummr: -r 1 -e Big5 $TEXMF/fonts/truetype/chinese/ntu_mm.ttf
    
  • c00ming.fdファイルを作ります:
    # cd 4_1.2/utils/ttf2pk
    # cp c00ming.fd $TEXMF/tex/latex/CJK/Bg5/
    
  • texconfigを実行します。
  • 4_1.2/examples/Big5.texファイルのkaiをmingに変更して、 bg5latex, xdvi, dvipsを実行します。結果が正しいかどうか 確認して下さい。
  • 縦方向にファイルを印刷した場合は以下のようにリストされているc00mingr.fd ファイルを作ります。Big5vert.texファイルのkairをmingrに変更してテスト 処理を繰り返します。
    \def\fileversion{4.1.0}
    \def\filedate{1996/11/20}
    \ProvidesFile{c00kair.fd}[\filedate\space\fileversion]
    
    \DeclareFontFamily{C00}{mingr}{}
    
    \DeclareFontShape{C00}{mingr}{m}{n}{<-> CJK * ntummr}{}
    \DeclareFontShape{C00}{mingr}{bx}{n}{<-> CJKb * ntummr}{\CJKbold}
    
    \endinput 
    

CJKドキュメントを書く

中国語CJK TeXドキュメントと一般のLaTeXドキュメントの主な違いは:

  • \usepackage{CJK}というコマンドが\documentclassの後、 \begin{document}の前にある。これはCJK.styをロードする必要があること を意味しています。
  • 中国語の単語はCJKあるいはCJK*環境下になければならない。
  • フォントを変更したい時は\CJKfamilyコマンドが使えます。例えば コマンド\CJKfamily{fs}はフォントfs(fsc00fs.fdで 定義されているフォント名です)をSong-imitatedフォントに変更します。
以下はCJKドキュメントの例です:
  \documentclass[12pt]{article}
  \usepackage{CJK}
  \begin{document}
    \begin{CJK*}{Bg5}{kai}

      \section{first section}
      \section{second section}
      Paragraphs, sections, pictures, tables, references and so forth... 
      ...

    \end{CJK*}
  \end{document} 

7.2 ChiTeX

Chen Hung-Yih < yih@math.ncu.edu.tw> 教授によって開発されました。ChiTeXを使った操作は、特殊なコマンドを別にすれば、 English TeXのように簡単です。

Obatining

以下から

ftp://dongpo.math.ncu.edu.tw/tex-archive/local/chitex/chitex/Linux/

インストール

LinuxにインストールしているTeXのバージョンを知っておきます。 古いシステムでは通常NTeXがインストールされていて、新しいものではteTeXです。 あなたのLinuxシステムにteTeXあるいはNTeXのどちらがインストールされている か調べるには、TeXを実行します。画面に

This is TeX, Version 3.14159 

が表示される時はこれはteTeXです。一方、

This is TeX, Version 3.1415N

ならこれはNTeXです、あなたのTeXに対応するChiTeXをダウンロードして下さい。

ChiTeXをインストールするのは簡単です。chitex60.tgz(teTeX)あるいは chitexN.tgz(NTeX)そしてfonts1.tgz, fonts2.tgz/usr/local以下に置きます。そしてchitex60.tgzを展開して csetupセットアッププログラムを実行します。

# tar zxvf chitex60.tgz
# cd chitex60
# ./csetup

フォントのインストール

ChiTeX用の中国語TrueTypeフォントがインストールできます。

  • TrueTypeフォントを$TEXMF/fonts/chinese/ttf以下に置きます。
  • $TEXMF/tex/chinese/chitex.fdfを修正します。以下の1行を 追加します:
    \choosechfont{fontname}{filename}
    

    ここでfilenameは拡張子.ttfを消したフォント名です。 また\fontnameはドキュメントでフォントを使うためのマクロです。

    例えばavntmv.ttfというフォントを使いたい時は \choosechfont{ming}{avntmv}行を書いて、 avntmv.ttfフォントを使うために\mingマクロを定義します。

  • chitex.fdfでは定義されているフォントがあります。 これらのフォントをインストールした場合はchitex.fdfを変更しないで 下さい。
     \kai    ---->  ntukai.ttf
     \li     ---->  ntuli.ttf
     \mr     ---->  ntumr.ttf
     \fs     ---->  ntufs.ttf
    

テスト

ここでChiTeXについているサンプルでテストします:

# chilatex math2.tex        (コンパイル)
# xdvi math2                (プレビュー)
# dvips math2               (PostScript ファイルへの変換)
# ghostview math2.ps        (ghostviewで出力する)

新しくインストールしたフォントをテストするために短いドキュメントを 書きます:


\documentclass[12pt]{article}
\begin{document}
\ming
   This is a test(You should type these words in Chinese). 
\end{document}

詳しくはChen教授のホームページを参照して下さい。

http://www.math.ncu.edu.tw/yih/intro.htm

7.3 Dtop

DtopはUNIXプラットフォーム用の中国語印刷ソフトウェアです。 Behavior Design Corporationで 開発されました。1995年11月はじめにバージョンv1.4がリリースされました。 同時に5つのさまざまなプラットフォームを構成しています。Linuxβバージョンは 期限なしの評価版です。その他、優れたLinux中国語環境を実現しています。しかし 公式バージョンはビジネス市場を視野にいれるまで遅れているようです。 これは開発を中止したのかもしれません。

どうやって入手するの?

DtopのLinux用βバージョンは以下のftpサイトからダウンロードできます:

それぞれ以下3つのサブディレクトリがあります:

dtop.linux

Dtopバイナリファイルとデータファイルを保管しており3つのファイルに分けられま す。ファイルを展開すると約40MBのディスクスペースを使います。

dtop.readme

Dtopによって定義されたファイルフォーマットのDtop関連ドキュメントを保管して います。Dtopβバージョンを使ってこの文書を読めます。

dtop.manual

DtopのXバージョン用リファレンス。Dtopのファイルフォーマットです。 XバージョンはLinux, IBM AIX, HP-UX, Sun 4.1.x, Solarisでアクセスできます

インストール

必要なハードウェアは:CPU 486 DX-33以上、RAM 16MB以上、50MBのディスク空き 容量。メモリが足りないといつか後悔しますよ。

dtop.linux以下のファイル全てを適当なディレクトリ(例えば /usr/local/dtop)で展開します。

実行する前にまず環境変数$DTOPHOMEをDtopをインストールする ディレクトリにセットしておきます。$DTOPTMPはDtop用の作業ディレク トリです(通常は/tmp)。XAPPLRESDIRはDtopのリソースファイルが あるディレクトリです。$DTOPHOME/userにセットします。

# export DTOPHOME=/usr/local/dtop
# export DTOPTMP=/tmp
# export XAPPLRESDIR=DTOPHOME/user

Dtopで使う中国語フォントディレクトリを設定する必要もあります。

# xset fp+ $DTOPHOME/pcf.chn

最後にKeysymマッチングテーブルを設定します。ワークステーションとは違って KeysymとKeycodeのあいだではLinux Xは重なっています。 例えばBackSpaceDeleteのKeysymsはLinux Xでは全て同じKeycodeに マッチしています。そのためBackSpaceの動作はDeleteとみなされます。 この問題を解決するためにDtopはKeysymファイルを$DTOPHOME/user 以下にdtop_keysym.linuxというファイル名で作ります。Xを開始したら、

# xmodmap dtop_keysym.linux

と入力して下さい。 別の解決方法はシェルから直接コマンドを実行することです:

# xmodmap -e "keycode 22 = BackSpace"
# xmodmap -e "keycode 107 = Delete"

準備ができたらDtopを実行できます。

# $DTOPHOME/bin/dtop14

詳しいイントロダクションについてDtopのオンラインリファレンスを 読むことができます。

7.4 ChinesePower

ChinesePowerはXで使う極東エディタ(Far-East Editor)です。WYSIWYGとして 分類されます。BIG5, GB, 日本語、韓国語混じりの入力、PostScriptの表示/印刷を サポートしています。ドキュメントを7色GIFグラフィックにできます(中国語ホーム ページには十分です)。ChinesePowerはHBFあるいはTTFフォントを使っています。

以下から入手できます。

ftp://ftp.ifcss.org/pub/software/x-win/editor/chpower-2.0.tar.gz
Chinese PowerをコンパイルするにはHBFフォントとMotifライブラリが必要です。 はじめにあなたのシステムに合わせてMakefileを修正して、
# make

とします。 メイクが終ったらバイナリ実行ファイルを作ります。そして環境変数を設定します:

# export HBFPATH=/usr/local/lib/chinese/HBF/
# export TTFPATH=/usr/local/lib/chinese/TTF/
# export HZINPUTDIR=/usr/local/lib/chinese/dict/
# export CHPOWERPATH=path_of_chinesepower

7.5 EasyFlow

これはwycc < wycc@iis.sinica.edu.tw>氏によって開発されました。 中国語ドキュメントの印刷を簡単にします。関連情報は

http://formosa.iis.sinica.edu.tw/~wycc/
にあります。


次のページ 前のページ 目次へ

[