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5. 消耗品の低減 (紙、インク、その他)

5.1 ドラフトの印刷 / 複数ページを紙一枚に印刷する

紙 1 枚に 1 ページ分以上印刷するには、 PostScript ファイルを処理するためのユーティリティ集、 psutils パッケージを使いましょう。 ページ選択や再アレンジが可能で、 小冊子を印刷するための袋折り印刷や折丁まとめ、 n-up (n ページを紙 1 枚に収めること) 印刷のためのページの併合といったこともできます。

HTML ページは印刷目的には最適化されていないことがよくあります。 HTML ページを印刷するなら、 HTML から PostScript へのコンバータ html2ps も使えます。 「このプログラムは HTML を直接 PostScript に変換します。 HTML のソースは、コマンド・ラインのパラメータ指定により、 1 個ないしは複数の URL や、ローカルのファイルから持ってくることができます。 インライン・イメージ、CSS1, 若干の HTML 4.0 の機能、といった、 幅広いレベルの HTML がサポートされています」

(訳注: The html2ps home page. html2ps version 1.0 beta 1 の時点では、 エンコーディングに EUC-JP, SHIFT-JIS, ISO-2022-JP も指定できますが、 正しく日本語の PostScript が生成されることの確認には至りませんでした)

PS 文書ないしは ASCII テキストを 2 up か 4 up で印刷するなら、mpage も使えます。 これで、紙を 50 パーセント以上節約できます。

(訳注: 入手は http://www.mesa.nl/pub/mpage まで。 html2ps 2.5.1-pre2 は欧米のエンコーディングにしか対応しておらず、 日本語の文書では使えません)

5.2 両面印刷

紙を節約する方法の大事なひとつとして、紙の両面に印刷する、というものが あります。Ben Woodard が、標準的な Linux の印刷プログラムから両面印刷 できるようにするためのlibppd というライブラリについて作業して います。(プリンタへのほかの小細工も大事ですが、両面印刷は最も重要です)

ベータ版をダウンロードできるページは http://sourceforge.net/project/?group_id=1658 で、この機能をサポートし た、変更版の lpr も手に入ります。

mpage も同様にこの手のことをできます。マニュアルページによれば:

-jfirst[-last][%interval]

数値で指定したページのみを印刷します。first, last, interval のデフォル トはそれぞれ 1, データの最後, 1 です。 従って、-j1-10 は最初の 10 枚、-j 1%2 だと奇数ページのみ、-j 2%2 は 偶数ページのみを印刷します。

以下のように 2 回に分ければ両面印刷ができます。3 穴パンチの用紙を使う 場合は、穴がページのてっぺんに来るようプリンタにセットしてください。私 たちが使っている LaserWriter II NTX の場合だと、プリンタのトレイを引き 出したその右側です。まず、奇数ページを

-j 1%2 ...

として印刷します。

プログラムが言ってくるページ数に注意してください。(実際に印刷されるの はこの半分の枚数です)印刷が終わって、mpage が奇数枚印刷したといってき たら、プリンタのスタックから最後の一枚を除去します。そのページに対応す る偶数ページは存在しないわけですから。そして、その紙の山を、反対側に印 刷されるようセットします。(パンチ穴付きなら、穴が左に来るように) II NTX では、印刷結果は空白面を上にして出てきます。おなじく空白面を上にし て、しかし 180 度回転させて、トレイに収めてください。他のプリンタでは.. 適宜判断してください。さあ、偶数ページを逆順に印刷します:

-r -j 2%2 ...

反対面の印刷に仕掛かるまえに、 他のだれかがプリンタに来ないよう祈りましょう。

もともと、あるいは後付けで両面印刷装置が付いているプリンタの使い方に関 する説明がまだ抜けています。申し訳ありませんが、こんな高いプリンタは持っ ていないので、まだチェックすることができません。

5.3 紙のかわりにモニタから読む

あるいは、印刷して読むかわりに、 less/xless/gless をビューアとして使ってみましょう。 PostScript 文書なら gs, PDF 文書なら xpdf または acroread ( Adobe からどうぞ) で読めます。 何か印刷しようと思ったときは必ず、本当にハードコピーが必要なのか、 胸に手を当てて考えてみましょう。

なぜみんなモニタ経由でものを読まないのか、というと:

  • 読む速度が最大 30 パーセント低下する。 N.N. 参照。 読む速度は、よりよいハードウェア (例, TFT ディスプレイやもっと大きなスクリーンなど。 ただし、この下で述べている「もっと小さな CRT を使おう」と反してしまいますが) 表示ソフトウェア (Type 1 フォント, t1lib, TrueType, FreeType) によって改善できる。
  • 紙のほうが整理しやすくて機密保持上安全だ、という人もいる。 これは、よりよいソフトウェア (例えば Linux) と よりよいハードウェアによってもまかなえると私は思う。

印刷などしないで、ハンドヘルド PC (Palm III, Newton Message Pad, Psion 5 など) を使って、読みたいドキュメントを持ち歩く人もいます。

5.4 他のテクニック

紙の節約のまた別の方法として、 共同作業者や協力者と校正のために文書を交換する際に、 紙にプリントして行うのではなく、 コメント記入や赤線/取消線のマーキングを使う手があります。 例えば、校正は WordPerfect で書けますし、 これは共同作業者にメールで送ることができます。 WordPerfect の赤線/取消線機能を使えば変更が目に見えます。 「決定稿」ないしは「最終ドラフト」の段階になるまで、 印刷しなくても済みます。

質問: あなたはレーザー・プリンタで紙の裏面を使えていますか? 私はあまり運のいい目にあっていません。 レーザー・プリンタで使われた紙の反対側なら インクジェット・プリンタで使えます。

注文するなら、できる限り小型のコンピュータとモニタにすべきです。 これで、ゴミになる包装資材を減らせます。 たとえば、15" CRT モニタの箱は、 15" LCD モニタの箱より 2〜3 倍は大きいのです。 15" LCD モニタと、 Netwinder や E3000 のような小さなコンピュータの組み合わせでも Linux は使えるのです。

ただ、小さなモニタの場合は、環境に関してちょっと注意が必要です。 小さなモニタだと長い文書を読むのが不便なので、 画面上で読まず、ついつい印刷してしまいがちだということです。

CRT ディスプレイよりも LCD ディスプレイのほうが 毒性のある原料を多く使っており、製造工程も多いので、 実際には環境には却ってよくない、 という懸念のことを誰かが言っていました。 これ、元の情報は固形廃棄物 - かなり有形ゆえにより扱いやすい - に関するものでした。

どなたか、 この問題をはっきりと説明し、解決するのに役立つような 研究や追加調査をご存じないでしょうか?

利用済みの紙やインク、包装資材をリサイクルしましょう。

再充填可能なプリンタ・カートリッジだって使えます。 ドイツでは "Blauer Engel" (ブルーエンジェル) ラベルが貼ってあります。

レーザ・プリンタのカートリッジは、 プリンタのメッセージパネルに「トナーが減っています」とメッセージが出たら 振ってみる。そんなことで、もっと永く使えるものです。

  • LaTeX 文書: \usepackage{ccfonts} を使えば、通常のフォントが もっと広い線と太いセリフ(文字飾り)のフォントに入れ替わるので、 低い解像度での読みやすさが上がります。 ただ、CM フォントよりも濃いし (つまり、より多くのインクが要る)、 比べると美しくもないものなので、通常サイズでの印刷にはお奨めしません。
  • サイズ縮小: psnup とか pstools の他のパーツの代りに、 Malcolm Herbert による、Perl 4 で書かれた psnup をお奨めします。 (1994 年からあるもので、もはや保守されていませんが、 これの子孫にあたる yup と呼ばれるものがあります。 yup からどうぞ。)

    多数のオプションがあり、 4 種類のマージンと内側のガターを別々に設定できます。 いずれにせよ、縮小された文書はあまりきれいなものではありませんから、 これはマージンを減らし、 テキスト用にもっと場所を残しておくのに使えばいいでしょう。 おそらくちょっと実験が必要でしょう。(新しい数値を何度も試しては ghostview で結果をチェックしてみる)

    普通使われるオプションは:

    • -p2 (または -p4 など。 むかしの psnup-2 に似ています)
    • -NIH (装飾を行わない)
    • -l10 -r20 -b30 -t40 (それぞれのマージンを増やす)
    • -g50 (ガターを増やす)

    (これらの値は用紙サイズと、オリジナルのマージン - マイナスの値もあり - に広く依存します)

  • 利用済み用紙の裏への印刷については、 インクジェット・プリンタによって得手不得手があります。 別のメーカも試してみましょう。 昔のキヤノンのインクジェットは 360 dpi が可能ですし、 HP の昔のインクジェットは 300 dpi でいけます。 LaTeX で 10 ポイント文字を使って 1 枚あたり 4 ページ印刷したときの 可読性はそのへんの性能にかかっています。
  • Linux 以外: MS-Windows で作業しなければならない場合は、 MS-Windows についてくるドライバの代りに、 Adobe オリジナルの PostScript ドライバを手に入れるべきです。 1 枚あたり 1 ページ以上印刷できます。 私の知る限り、2 種類ある psnup のどちらも Adobe の PS, MS-Windows の PS、そして MS-Windows の PDF ファイルから抜き出された PostScript では使えないようです。 Computer-Modern フォント (ただしドイツ語の発音文字は無し) は、 TTF フォントとして CTAN サーバ群から手に入ります。 これらのフォントを使えば、さらに美しい文書と、さらなる紙面の節約が できます。
  • Ghostscript には正しい PostScript で出力を生成してくれる 新しい出力フォーマット pswrite があります。 例えば Microsoft のドライバによる壊れた PostScript を修正するのに使え、 その結果、psnup での後処理が可能になります。
  • impose+ は PostScript のユーティリティの集まりです。 メインのプログラムは impose で、 DSC (訳注: Document Structuring Convention, Adobe による PostScript の文書構造化規格) 対応の PostScript (Netscape や dvips, FrameMaker からの出力を含む) の 1 枚あたり 2 ページの印刷に使えます。 オリジナルの PostScript から、印刷される領域の矩形を検出することによって 印刷結果から余白を除去してくれる働きもあります。 このため、見切りのないオリジナルのページを単純にレイアウトするよりも 美しい出力結果になります。
  • hpgs hpgs は、 HP 6xx シリーズのプリンタの節約モードを使えるプリンタ・ドライバです。 どんな内容の印刷が可能かは GhostScript に入っているプリンタ・ドライバ によりますが、プリンタをエコノミー・モードにできるのは確かです。

この章の大部分は Wade W. Hampton によるものです。 Ralf Muschall からもいくつか提案をいただきました。


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