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2. GRASS とは?

GRASS (Geographic Resources Analysis Support System)はパブリック・ドメイン のラスター型 GIS です。もちろん ベクター形式のデータも扱うことができます。 また GRASS は画像処理システムでもあり、グラフィック製作システムでもあり ます。米国陸軍技術部隊(the US Army Corps of Engineers)の建築工学研究所 (Constriction Engineering Research Laboratory)(USA/CERL)で開発され、その 他の多くのユーザによって改良されており、世界各国の政府機関や大学、企業で広く 使われています。さまざまな UNIX マシンで動作するように大部分が C 言語で 書かれ、 Linux はその中でも中心になるインプリメンテーションの 1 つです。 GRASS は、以下の機能を持つプログラムを持っています。

  • 40 個以上のモニタやハードコピー上の画像のレンダリング
  • 60 個以上のラスター・データ操作・解析
  • 30 個以上のベクター・データ操作・解析
  • 30 個近くのマルチ・スペクトル画像処理操作・解析
  • 16 個の データ管理
  • 6 個のファイル管理
GRASS には得意とする分野がいくつもあります。シンプルなユーザ・インタフェー スは、はじめて GIS を学習する者にとって理想的なプラットフォームになります。 ユーザは既存のソース・コードやドキュメント化されている GIS ライブラリのイン タフェース、さらに GRASS のプログラマーズ・マニュアルを調べることによって、 自分の好きなようにコードを書くことができます。つまり GRASS だけでより洗練 された、高度に統合化された環境を実現できます。

他の長所としておげられるのは次の点です。

  • 1 つのデータベースに複数の分解能を持つことができる
  • 1 つのデータベースに複数の地理的に独立した地域を含めることができる
  • ラン・レングス符号化方式を使った圧縮機能でラスター画像を圧縮できる
  • 再分類用参照テーブルの利用
  • 表示中の画像をその場でスケーリングして再表示する
これに加えて GRASS はその基本設計の特徴になっている強力なコンピュータ支援 機能を使って、環境問題を科学的に分析することもできます(比較的簡単な操作で、 複雑な地図製作を行う機能だけを目的にした GIS とは、まったく異ったアプローチ をとっています)

GRASS はフリーで著作権なしに配付され、これをマシン上でコンパイルして利用 するのが普通です。インターネット経由でダウンロードできるバイナリもいくつか 存在します。もちろん無料で、複雑な手続きも必要ありません。さまざまな種類の UNIX 上で動作します。

訳註:GRASS は ベイラー大学に本部を置く the GRASS Development Team (ベイラー大学、イリノイ大学、ハノーファー大学)が管理しています。 1999 年 10 月 25 日に GPL(Gnu Public License)なソフトウエアとなりました。 詳細を知りたい方は、 http://wgrass.media.osaka-cu.ac.jp/grassh/gnu-release.html を見てください。
この文章は、 Project Assist の GRASS の序文からの引用です。


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