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8. ドメインネーム

コンピュータの名前を数字で呼ぶのは、大変苦痛です。どうせなら気の きいた名前にしたいでしょう。しかし、LAN で多くのコンピュータを接 続すると、他のコンピュータと名前がぶつかるかもしれません。世界中 のだれかが自分の好きな名前を既に使っているとも限りません。コンピュ ータに名前をつけるだけでなく、それを世界で一意にまとめるためのシス テムが考案されました。ドメインネームシステムです。

8.1 コンピュータの名前

Internet の普及ですっかりドメインネームもなじまれるようになりま した。ドメインネームは、アルファベットと数字からなる単語をピリオ ドで区切ったものです。たとえば、

  • wuarchive.wustl.edu
  • garbo.uwasa.fi
  • www.yahoo.co.jp

などです。ドメインネームシステムでは、左側に行くほど、狭い範囲を あらわします(ドメインとは領域のこと)。重要な考え方として、最初 のピリオドの左側はコンピュータの名前で、ピリオドより右側は領域 の名前であるという見方があります。例えば garbo.uwasa.fi は、 uwasa.fi 領域の garbo という名前のコンピュータです。右側の方 が広い範囲というのは奇異に感じられますが、例えばアメリカでは住所 をこういう風に書きます。

外部と接続しないならばどんな名前をつけていもいいのですが、後でい ろいろなことがわかるようになったとき、自分が馬鹿みたいに感じるの はいやなものです。ですから、でたらめな名前だけど、規則には従って いるという命名を行いましょう。一番いいのは「インターネットでの 約束事として、例示などに使用するために予約されているドメイン名」 を利用して名づけることです。その場合は、

コンピュータ名.予約ドメイン名 (example.org など)

とします。

  • t-rex.example.com
  • microftxxx.example.net
  • ann.example.org

など、好きにしてください。ただし、実際に利用されている可能性の あるドメイン名はできる限り避けるようにしてください。例え外部に 接続しないつもりでも、いつか問題を生じる可能性が無いとはいえません。

ドメインネームを使ってフルネームで、あるコンピュータを示す場合、 そのフルネームを FQDN (Fully Qualified Domain Name) と呼ぶことは 覚えておきましょう。下の例は架空の秘密組織である example.org にある linux機の名前です。

         +---- FQDN
         |
___________________
ann.example.org
~~~ ^^^^^^^^^^^^^^^
  |         |
  |         +-- ドメイン名
  +------------ ドメインの中での名前

繰り返しますが、たとえ絶対に外部にネットワークを接続しないと 決めていたとしても、実在する組織のドメイン名を勝手に使うことは 「可能な限り」避けてください。

8.2 Linuxの/etc/hosts

さて、TCP/IP ではコンピュータを数字で指定しますが、人間はドメイン ネームシステムにしたがった名前で指定します。コンピュータはどちら で要求が来た場合でも対応できるようにしなければなりません。したが って、ドメインネームによる名前と、数字による名前を対応させる必要 があります。この対応を取るためのデータを持つのが、Linuxでは /etc/hosts というテキストファイルです。このファイルでは、IP アドレ スとコンピュータの名前をならべて対応を取ります。たとえば、次の ようなファイルになります。

# local host
127.0.0.1       localhost
# my computers
192.168.1.1     ann.example.org    # Linux
192.168.1.2     betty.example.org
192.168.1.3     clara.example.org
# end of file

上の例で、#に続く文字はコメントとして無視されます。また、 127.0.0.1 の行はおまじないなので、必ず必要です。どんなシステム でも導入時にこの行は用意されますので消去しないでください。また 、自分自身のアドレスと名前も必ず記述します。

/etc/hosts を変更すると、システムは自動的にこれを認識します。 再立ち上げなどは不要です。

8.3 Windowsの\windows\hosts

Windows95 にも、hostsファイルが必要です。これは、 c:\windows\hosts という名前にします。Windows95 には c:\windows\hosts.sam という例題ファイルがあ りますが、これは無視して、Linux の /etc/hosts とそっくり同じ 物を作って hosts ファイルとしてください。

\windows\hosts を変更すると、システムは自動的 にこれを認識します。再立ち上げなどは不要です。

8.4 MacOSのhosts

こいつは難物という程でもないのですが、注意が必要です。 Mac の Hosts は Linux の /etc/hosts とは書式が違います。 書式を例で示しましょう

; local host
localhost.example.org   A       127.0.0.1
localhost                       CNAME   localhost.example.org
; my computers
ann.example.org         A       192.168.1.1
betty.example.org               A       192.168.1.2
clara.example.org               A       192.168.1.3
; end of file

ドメイン名による名前と IP アドレスの順番が Linux の hosts と入れ替 わっています。また、名前と IP アドレスの間に A という記号があります。

加えて、localhost が Linux と違って FQDN で定義されています。 皆さんが localhost を定義するときには、localhost.dsicovery.co.jp の ドメイン名の部分を自分が使用する ものと取り替えます。これは、2 行どちらにもいえます。正直申し上 げて localhost の定義が必要かどうか私にはわかりません。ずいぶん Open Transport のサイトなども漁ったのですが、満足のいく説明は ありませんでした。私は安心のために入れています。

hosts を置く場所は決まっていないのですが、これについては あとで再度説明します。

8.5 DNS

/etc/hosts を手作業で組み込むのは、組織が大きくなると大変 です。そこで DNS ( Domain Name Server)というものが 開発されました。こ れは、ネットワーク上にある特定のコンピュータが他のコンピ ュータに名前と IP アドレスの組み合わせを教えてくれる仕組み です。この先勉強した後に挑戦するのも面白いと思いますが、 とりあえず今は使いません。

会社でネットワークにコンピュータを接続するときには、管理者 に DNS サーバーのアドレスを問い合わせてください。


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