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9. Jensen (DEC 2000/DECpc 150/Highscreen AXP)

この章は数年にわたって Martin Ostermann によって更新されていましたが、 Martin は現在 Jensen を所有していません。更新する場合は に直接連絡を下さい。

Jensen は DEC からリリースされた最初の Alpha PC です。当然ながら、 奇妙な仕様もあります。この章では Jensen に Linux/Alpha を インストールしようとする人向けの情報が記載されています。さらに Jensen 上で Linux を動作させるための追加情報も記載されています。

9.1 インストール

まず、Jensen 用の MILO はありません。ですから Jensen に 組み込まれている SRM コンソールを使う 必要があります。しかも SRM コンソールでは起動時のコマンドライン入力に 対して制限があります。 Michael Schwingen 氏により aboot というブートローダが開発されています。これを使用すると前述のような制限を 回避することができます。

第 2 に、Jensen の SRM コンソールでは、フロッピーから起動できません。 そのため、ARC コンソールから実行可能な minilabel と writeboot プログラムを Jim Paradis 氏が 配布するまでは、Linux の起動は本当に骨の折れる作業でした。 最新のバージョンでは、 コンパイルされた aboot ローダとインストール方法が含まれているので、 こちらを使いましょう。

オリジナルのバージョンは、インストール方法が詳細に書かれている JENSEN-HOWTO とともに、 ftp.digital.com から入手できます。ただし、これは旧バージョンであり、 使用すべきではありません。

Jensen は Red Hat Linux で サポートされていますが、いくつかのトラブルも報告されています。

9.2 Jensen は違う

Jensen は他のマシンと比較して、いくつかの相違点があります:

  • MILO がない。すでに述べたように、Jensen 用の MILO はありません。 これは Jensen のファームウエアの仕様が他のシステムと異なるためです。もし 詳しい理由を知りたい場合には PALcode をキーワードにして検索して下さい。
  • EISA バス。Jensen には EISA バスのみが搭載され、PCI バスは ありません。そのうえ、バスのアドレッシングに関して特殊な方法が 採られています。カーネルがデバイスドライバーを常に監視していますが、 X サーバのような直接 I/O を操作するようなプログラムは十分注意する必要が あります。そのため Jensen 用には特殊な X サーバが必要になります。XFree86 のバージョン 3.3 以降で S3 カード用のものが www.xfree86.org から入手できます。 また、ECOFF システム用の古いバージョンの X サーバが AZStarNet から取得することが できます。上記サイトには、SVGAlib など Stephan Kanthak 氏によって移植された Jensen 用の各種プログラムも置いてあります。 もし詳細を知りたければ、SPARSE vs DENSE memory をキーワードにして 探して下さい。

    注意:S3 ベースのカードだけがサポートされています。Digital 出荷時に搭載されている Compaq QVision というカードは、現在 XFree86 のサポートから外れています。将来的にも決してサポートされないでしょう。

  • リアルタイムクロック。どういう理由からかわかりませんが、 リアルタイムクロックのアドレスの位置が通常とは違ったアドレスに 配置されています(通常の I/O ポートは 0x70 ですが、Jensen は 0x170 に割り当てられています)。ですから、標準で添付される clock プログラムは 実行できません。パッチを当てたバージョンが Martin Ostermann のホームページにあります。
  • ファームウエア。Jensen は最も古いマシンに属するため、古い バージョンのファームウエアしか手に入らない場合があります。最新の ファームウエアは firmware update から 取得してください。最近のバージョンでは、時間に関して 20 年のオフセットを 行なうようになっています。注意:もし ELSA-Winner 1000 グラフィックカードを持っているのであれば、バージョンを 1.7 以上には 上げないようにしてください。そうしないと、ビデオカードを EISA モードで 動作させることができません。多分、カードに搭載されている EISA BIOS の バグが原因と思われます。

9.3 判明しているバグ

現在判明しているバグと作業中の事項:

  • 日付と時間。ファームウエアのバージョンの違いによるリアルタイム クロックの設定に関する問題。前述。
  • ファームウエアをバージョンアップ後に起動不可能になる。 aboot は最新のファームウエアでは動作しません。 バージョン 1.7 までの動作が確認されています。
    もし ELSA-Winner 1000 グラフィックカードを持っていて、ファームウエアの バージョンを 1.7 以上に上げた場合には、カードは EISA モードでは動作しません。 ISA モードになるようにカードを再設定してください。
    ファームウエアのバージョンを下げたくなるかもしれません (バージョンが 1.7 でも、Windows-NT 3.51 と 4.0 では 良好に動作するようです)。古いバージョンは Digital の ftp から入手できます。
  • aboot-0.x が最新のカーネルで構築できない。0.4 またはそれ以上の バージョンの aboot を入手して下さい。最新のカーネルでは構築できます。
  • シャットダウンした後に自動的にリ起動しない。2.0.x の カーネルで発生する問題です。最近の 2.1.x では解決されています。私は 2.1.88 で試してみましたが、ちゃんと再起動するようです。しかし、 このカーネルバージョンは別の問題を抱えています。
  • 2 番目のシリアルポートが使えない。/dev/cua1 に アクセスしようとすると、即座にシステムが固まってしまう。 確認したいのであれば、ファイルシステムを read-only モードに 変えてから、'cat /dev/cua1' と打ち込んでみてください。もしシリアルポートが さらに必要な場合は、シリアルバッファカードを購入してください。内蔵のポートは バッファタイプ(16550 互換)ではなく非バッファタイプ(16450 互換)なので、 モデムをつなごうとしているのであれば迷わずにそうすべきです。

Jensen での問題点を Alpha 一般の問題と取り違えて批判する人もいます。 しかし、Jensen はハードウエアが特殊だということを忘れないでください。 ハードウエア操作のほとんどはカーネルが担っているため、たいていの プログラムでは Jensen と他の Digital/Alpha マシンの違いをとくに 意識する必要はありません。

9.4 ハードウエアの問題

システムのアップグレードを考えているのですか? いくつかの方法を以下に 挙げますが、私が全ての方法を試したわけではないことに 注意してください。単にインターネットの情報を収集しただけです。

  • RAM のアップデート。 96 年夏以降に生産された 4 MB、8MB(dual-RAS 別名 doublesided)、16 MB、 32 MB の SIMM は動作すると報告されています。しかし、 決まったリフレッシュ・サイクルが必要かどうかは分かりません。 36 ビットパリティの SIMM でなければならないということに注意してください (ただし、Michael Schwingen が確認したところによると、実際に使われるのは 4 パリティビットのうち 1 つだけのようです)。
  • ビデオカード。 基本的には、どんな VGA ISA、EISA カードでも動くかもしれません。 ARC コンソールと Windows NT を使うのであれば確実に動きます。残念ながら、 Linux を起動するのに必要な SRM コンソールは、サポートしているカードとの 組み合わせにやや敏感です。SRM コンソールは、VGA-BIOS によってカードを 初期化する際に Intel-x86 エミュレーションを使うのですが、この エミュレーションがバグを持っているようです。
    X を動かしたいのであれば、S3 ベースのカードを使ってください。S3 であれば どんなカードでも、SRM コンソールが受け付け起動してくれます(S3-Virge などはだめです)。XF86S3 ドライバの詳細については、XFree の ドキュメントを御覧下さい。

9.5 その他の各種情報

Jensen についての詳しい情報は? オンラインで利用可能な情報は以下の場所 から入手できます:

  • David G. Conroy、Thomas E. Kopec、Joseph R. Falcone 氏によって 書かれた The Evolution of the Alpha AXP PC( text/ Postscript。 Jensen の開発に至るまでの話です。
  • Digital 社による Product announcement and description( text/ Postscript。Jensen システムに関する概略とオプションの説明が 記載されています。
  • Digital 社による PB22H-KB System Module -- Hardware Reference Information( PDF。Jensen のハードウエアに関して詳述されています。


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