The Linux XFree86 HOWTO by Eric S. Raymond v6.1, 21 April 2000 JF Project 22 April 2000 この文書では、Linux システム用の X Window System (X11R6) の XFree86 バ ージョン 4.0 の入手、インストール、設定について解説しています。お使い のシステムで XFree86 を設定する際の、ステップ・バイ・ステップの案内に なるでしょう。 ______________________________________________________________________ 目次 1. はじめに 1.1 他の情報源 1.2 この文書の最新版 1.3 フィードバックと修正 2. ハードウェアの要件 3. XFree86 のインストール 4. XFree86 の設定 4.1 通常の設定 4.2 トラブルシューティング 4.3 カスタム設定 4.4 16 ビットカラーの使用 5. XFree86 を走らせる 5.1 利用条件 5.2 謝辞 6. 翻訳 ______________________________________________________________________ 1. はじめに X Window System は、UNIX システムのための、巨大でパワフルな (不必要に でかくて複雑すぎという人もいますが) グラフィック環境です。オリジナルの X Window System のコードは MIT で開発されました。そして数々の商用ベン ダーによって、 X は UNIX プラットフォームにおける業界標準となりまし た。事実上、世界中のすべての UNIX ワークステーションの上で、何らかの X Window System の変種が走っています。 そして、MIT の X Window System バージョン 11 リリース 6 (X11R6) の、 80386/80486/Pentium ベースの UNIX システム向けの移植が、David Wexelblat をはじめとする プログラマ・チームによって、しかも自由に再配布可能なかたちにおいて行わ れました。 XFree86 として知られるそのリリースは、System V/386, 386BSD, そしてもちろん Linux を含むその他の x86 ベースの UNIX で利用可能です。 必要とされるバイナリ、サポート・ファイル、ライブラリ、ツールがすべて含 まれています。 XFree86 に関する情報は、XFree86 の Web サイト にすべてそろっています。 この文書では、Linux 向け XFree86 のインストールと設定に関して順を追っ て説明してゆきますが、細かいところについては、XFree86 そのものに付いて くる文書 (後で説明します) に自分で目を通し、穴を補う必要があったりもし ます。ともあれ、X Window System の運用、カスタマイズに関するような話は この文書の範囲を大きく超えています。こういったことを知りたい場合は、 X Window System の活用に関する良い本が多数出ていますから、そちらを手に入 れられるほうがよいでしょう。 1.1. 他の情報源 Linux なんて聞いたこともないよという方は、システムに関する基本的な情報 源の数々に当たってみるのがよいでしょう。この手の情報を探すには、Linux Documentation Project のホームページ がベ ストでしょう。この文書の最新版も として置いてあり ます。 (訳注: 日本語訳の最新版は ) 1.2. この文書の最新版 Linux XFree86 HOWTO の新しいバージョンは、定期的に comp.os.linux.help と comp.os.linux.announce 、 news.answers に投稿され、そしていろんな Linux の WWW サイトや FTP サイト、もちろん LDP ホームページにアップロードされます。 また、最新版は常に World Wide Web で として見ることが できます。 (訳注: 日本語訳の最新版は です。 X Japanese Documentation Project もおすすめで す) 1.3. フィードバックと修正 この文書に関する質問、意見がある場合は、どうぞお気軽に Eric S. Raymond esr@thyrsus.com 宛にメールをください。いかな る示唆、批評でも歓迎です。この文書にミスを見つけた場合はどうか教えてく ださい。次のバージョンで直せますから。 Thanks. (訳注: 日本語訳に関する質問、意見は 森本 淳 morimoto@xantia.citroen.org 宛にお願いします) ただ、「おれのビデオカードやモニタはどうやったら X で使えるんだ」と いった問い合わせのメールは出さないでください。この HOWTO は、XFree86 に最近備わった、対話的な設定メニューを使った普通のインストール作業に関 する、読みやすくて手軽なガイドとなるべく書かれたものです。問題に出くわ した場合は、XFree86 Video Timings HOWTO に あたってみてください。(これは XFree86 の `Videomodes.doc' ファイルの最 新の HTML バージョンです) (訳注: XFree86 Video Timings HOWTO の日本語版は ) この文書には、設定の際のトラブル・シューティングに関する情報が、私が 知っている限りすべて載っています。これを見ても分からないようなことは、 私だって分からないのです。 2. ハードウェアの要件 サポートしているカードとチップセットの種類の最新のリストは http://www.xfree86.org/4.0/Status.html にあります(訳注: 日本語訳は http://xjman.dsl.gr.jp/xf86_4/Status.html にあります)。 お使いのビデオ・アダプタでどんなチップセットが使われているかは、付属の 説明書に書いてあるはずです。 今まさにビデオカードを買おうとお店で品定めをしているところだとか、新し いマシンを買うところなんだとかいうのなら、そのベンダが、そのビデオカー ドの構成、モデル、チップセットを明らかにしているかどうかを確認してくだ さい。テクニカル・サポートに電話して聞いてみる必要があるかもしれませ ん。普通はよろこんで答えてくれます。PC ハードウェアのベンダの多くは、 そのビデオカードはお持ちのシステムで動く「はず」の ``スタンダード SVGA カード'' であるとコメントすることでしょう。あなたのソフトウェア(もちろ ん、Linux、XFree86 という名称にも触れること!) が必ずしもすべてのビデ オ・チップセットをサポートしているわけではないこと、だから詳しい情報を 知りたいのだ、ということを説明しましょう。 お使いのビデオカードのチップセットは、 XFree86 のディストリビューショ ンについてくる SuperProbe プログラムを走らせることによっても調べられま す。あとで詳しく紹介しましょう。 なお、サポートされているビデオカードは、 ISA バスや VL バス、PCI バス といった、すべてのバスにおいてサポートされています。 XFree86 の開発者たちが直面している問題のひとつに、カードを稼働させるた めのクロック周波数の決定について、標準的でない仕組みを用いているビデオ カード・メーカーがあることです。 こうしたメーカーのなかには、カードをプログラミングする手段の仕様を公開 しないものや、情報入手のために非開示条項にサインするよう開発者に求める ものすらあります。これは、明らかに XFree86 ソフトウェアの自由な配布に 制限をかけてしまいます。 XFree86 開発チームがしたくないことなのです。 Diamond が製造する数種類のビデオカードに関して長い間これが問題でした。 しかし、XFree86 リリース 3.1 の時点で、 Diamond はこれらカードのフリー のドライバをリリースするため、開発チームと一緒に作業を始めています。 Linux 向けの XFree86 のセットアップ例としてここで提案しているものは、 486 以上のマシンに 8MB 以上の RAM、そして上に挙げたチップセットを用い たビデオカードです。最適な性能を出すには、たとえば S3 チップセットのカ ードのような、アクセラレーション機能付きのカードをお薦めします。買った 後でイヤになって投げ出し、別の高価なハードウェアを購入したりする羽目に 陥るまえに、 XFree86 のドキュメントをチェックし、狙っているカードがサ ポートされているのかどうか確かめましょう。 補足として、Matt Welsh (この FAQ の原作者) の Linux システムは 486DX2-66 に RAM が 20MB, ビデオカードは VL バスの S3-864 チップセッ ト、 DRAM 2MB のものを付けています。彼はこのマシンで、X のベンチマーク を Sun SPARC IPX ワークステーションと同等に走らせました。ざっと言え ば、この Linux システムは SPARC IPX の 7 倍は高速でした。 (好奇心旺盛なかたへ: SPARC IPX が 24,000 xstones 近辺の性能だったのに 対し、このビデオカードを装着した Linux 上の XFree86-3.1 は 171,000 xstones 近くの性能を出しました。) 一般に、アクセラレータ付き SVGA カードを付けた Linux システムでの XFree86 は、 (普通は単純なフレームバッファしかグラフィックス用としては 持たない) 市販の UNIX ワークステーションのそれよりも、とても優れた性能 を引き出します。 少なくとも、4 MB の物理 RAM と、16 MB の仮想 RAM (例えば、8 MB の物理 メモリと 8 MB のスワップ) が必要になります。システムのメモリ残量が足り なくなるとディスクへのスワップ読み書きが発生してしまいます。物理 RAM が多ければ多いほど、こうなることを防げます。スワッピングとはもともと遅 いものですから (ディスクへのアクセスは、メモリへのアクセスに比べ非常に 遅いのです) XFree86 を快適に走らせるのには 8 MB 以上の RAM が必要なの です。 16 MB がベターでしょう。物理メモリが 4 MB のシステムだと、 8 MB 以上積んだものにくらべ、とってもとっても (10 倍以上) 遅くなります。(訳 注: 漢字を快適に使うなら、もっと多くのメモリ、少なくとも 32 MB は搭載 することをお勧めします) 3. XFree86 のインストール Linux のディストリビューションに付属してきたもの、という形で XFree86 を手にいれたケースは多いでしょう。この場合は、 XFree86 の個々のソフト ウェアをいちいちダウンロードする必要はありません。また、お使いのマシン 向けの RPM バイナリ・パッケージが手に入る場合もあるでしょう。その場合 は、 rpm(1) コマンドでインストールすれば済みます。このへんの事情にあて はまる場合は、このセクションは飛ばしてください。 Linux 用 XFree86 バイナリ・ディストリビューションは、多数の FTP サイト に置いてあります。 XFree86 自身のサイトの場合は、 以下を見てくださ い。お使いの CPU (axp=Alpha, ix86=Intel 80x86)や GNU C ライブラリのバ ージョンに従って、Linux-axp-glibc21, Linux-ix86-glibc20, Linux- ix86-glibc21 サブディレクトリのいずれかを入手しましょう。 ことを進める前に、まず `Xinstall.sh' シェルスクリプトをダウンロードし て実行してください。このスクリプトは何が必須なのかを、インストールを進 める前に教えてくれます。XFree86 のバイナリ・ディストリビューションの詳 しいインストール手順は にあ ります(訳注: 日本語訳は にあります)。 binary ディレクトリには、最新バージョンのリリース・ノートが RELNOTES として置いてあるはずです。インストールの詳細については、これらにあたっ てみてください。 XFree86 のインストールに必要な手順は、上記のファイルを手に入れて、 root になって /usr/X11R6 というディレクトリを作り、 /usr/X11R6 から、 下のようなコマンドでファイルを展開するだけです: gzip -dc Xbin.tgz | tar xfB - これら tar ファイルの中身は /usr/X11R6 ディレクトリから相対的に収めら れているため、このディレクトリからファイルの展開を行わなければなけない ことに注意してください。 /usr/X11R6/bin があなたのパスに入っていることも確認してください。お持 ちのシステムのデフォルトの /etc/profile または /etc/csh.login (あな た、あるいは他のユーザがそのシステムにおいて使っているシェルによって異 なります) を編集すれば ok です。あるいは、.bashrc または .cshrc (お使 いのシェルによって異なります) にパスを足すだけでもよいのです。 また、ランタイム・リンカである ld.so が /usr/X11R6/lib を指せるように なっていることも確認しないといけません。 /usr/X11R6/lib という行を /etc/ld.so.conf に足してやり、 /sbin/ldconfigを root 権限で 実行してやってください。 4. XFree86 の設定 4.1. 通常の設定 自分のマウス、キーボード、モニタ、ビデオカードが使えるよう XFree86 を 正確に設定する - かつてこれは、複雑な設定ファイルの大量の手ハックを必 要とする、まるで黒魔術のたぐいだったのです。もうこんなことはたくさん。 最近のリリースでは設定作業は取るに足らないものになっています。カードの 種類ごとに別々のサーバを用意する必要もなくなって共通のサーバからモジュ ールをロードするだけになり、作業は簡単になりました。設定するためにやる ことは、 XF86Setup プログラムを立ち上げる、これだけです。 いまどきの新品の PC は、少なくとも EGA/VGA 以上の解像度を扱えるモニタ と一緒に出荷されていますが、 XF86Setup プログラムはこれを前提とした作 りになっています。まず VGA16 サーバを起動し、(ちまたの PC のビデオ仕様 の) 最大公約数である 640x480 モードで X を立ち上げ、それから 5 つの設 定パネル - マウス、キーボード、ビデオカード、モニタ、その他いろんなサ ーバのオプション設定 - に入ってゆける対話的なプログラムを走らせます。 このへんの段取り全体、とても楽ちんにできています。 (Red Hat Linux の場合は、Xconfigurator というまた別のプログラムで、よ り簡単便利な設定が可能です。 XF86Setup そっくりの働きをします が、XF86Setup と違って、 X のインターフェースや VGA16 サーバなしでも動 きます) (訳注: TurboLinux にも独自の X 設定ユーティリティがあります。これらに ついては、それぞれのディストリビューションに附属のマニュアルをお読みく ださい) (訳注: また、xf86config という設定プログラムもあります。これは古くから あるテキスト画面主体のもので、今となっては操作性は劣りますが、かえって 便利に使える状況もありますので、 XF86Setup の利用が困難なマシンのユー ザや、パワーユーザを目する人は、頭の隅に入れておくとよいでしょう。) 細かい注意すべき点ですが、いまどきの PC を使っている大多数の人にとって は、そのキーボードはデフォルトの `Generic 101-key PC' ではなく、 XF86Setup が `Generic 102-key PC (intl)' と呼んでいるところのものなの です。デフォルト (101) を選んだ場合、キーボードの右端の一群のキー (テ ンキーなど)は働かなくなります。 (訳注: 日本で購入した PC の場合は、「いまどき」は日本語 109 キーボード が付いてくるでしょう。日本語 106 キーボードを選んでやれば大丈夫です。 XF86Setup をお使いの場合は、メニューから選択するだけです。 XF86Config を直接エディタで編集するなら、 Section "Keyboard" Protocol "Standard" XkbRules "xfree86" XkbModel "jp106" XkbLayout "jp" XkbVariant "jp106" XkbKeymap "xfree86(jp106)" EndSection で良いはずです。XkbOptions は引数を空白にしておいてもエラーになるよう なので、コメントアウトまたは削除します) モニタの機種がよくわからない場合は、リストアップされているものを順々に 試してみましょう。上のものから下に向かってやっていきましょう (上にある 選択肢ほど低いドット・クロック・スピードなので、ハードウェアの違いに依 存しにくいのです)。どんどん下へと選んでいって、画面がぐちゃぐちゃと か、ひどく歪んだ画になってしまったら、そこで戻りましょう。些細な歪 み(画がちょっとだけ大きすぎるとか、ちょっと小さいとか、すこし中央から ずれているなど)なら問題ありません; このへんは、後でモードを微調整すれ ばすぐに直せます。 そして、プログラムは xvidtune を起動してくれます。あなたがビデオモード を自由にひねくりまわせるように。最初に警告画面が出ます。でも、そんなに 神経質にならないでください。いまどきのマルチシンク・モニタは、この手の ことをしても、 (昔の固定周波数のやつとは違って)そう簡単には壊れませ ん。 XF86Config は、お使いのマウスのデバイスファイルが /dev/mouse であると 仮定します。これで動かない場合は、 /dev/mouse を、/dev/ca[01] など、実 際にマウスがつながっているデバイスファイルにリンクしなければいけませ ん。 gpm が走っているときに XFree86 が"mouse busy" というエラーを返し てきたら、代わりに/dev/ttyS[01] にリンクしてください。 (訳注: /dev/ttyS[01] とは、/dev/ttyS0 か /dev/ttyS1 のいずれか、という 意味です。) (訳注: Linux Kernel 2.2 以降を使っている場合は、 /dev/cua[01] のかわり に /dev/ttyS[01] を使いましょう) (訳注: マウス種別を(キーボードで)設定するときは、設定が完了するまでな るべくマウスに触れないほうがいいかもしれません。 XFree86 の過去のバー ジョンでは、不用意にマウスを動かすと設定に失敗する例がありました) 設定作業の流れは、まずお使いのビデオカードの一般的な種別に対応するサー バモジュールを選び、次に、あなたのマシン特有の設定パラメータを得るため に X サーバが起動時に読みこむファイル、 XF86Config を設定/生成するとい う段取りになります。 XF86Config の位置はお使いの OS によって違うことが ありますが、少なくとも /etc/X11 は定位置の一つです。 XFree86 の昔のバージョンでは、XF86Setup は `X' というコマンドを選択さ れたサーバに直接リンクしていました。最近のバージョンでは、Xwrapper と いう set-user-id されたラッパー・プログラムを用いて X サーバを起動する 仕組みが提供されています。 setuid root でなければならない要素を最初に Xwrapper プログラムの中だけで処理してしまうため、サーバ自身を setuid root で走らせる必要がなくなる、これが Xwrapper のアイデアです。 (訳注: 上記の Xwrapper の仕組みは、LASER5 Linux など、 red hat 系の ディストリビューションで用いられているようです。 `X' というプログラム /usr/X11R6/bin/X は /usr/X11R6/bin/Xwrapper へのシンボリックリンクに なっており、 Xwrapper は /etc/X を exec するようになっているようです。 もともとの XFree86 では、 xinit やそのフロント・エンドである startx が、特に指定がない場合まず Xwrapper の実行属性をチェックし、正常であれ ばそれを実行、さもなくば X サーバそのものを起動します。 また、Debian GNU/Linux の場合は Xwrapper という名前ではなく、 `X' とい う名前で存在するバイナリが wrapper になっています。これは Debian 独自 の仕掛けであり、GPL ライセンスのもとに公開されています) 4.2. トラブルシューティング ときたま、初回の X サーバ立ち上げが完璧にはいかないことがあります。た いていは設定ファイルに起因する問題です。よくあるのが、モニタのタイミン グ値が抜けている、ビデオカードのドット・クロックが誤って設定されてい る、ということ。細かい修正なら xvidtune で直せますが、画面がかなりぐ ちゃぐちゃになってしまったような場合は、XF86Setup まで戻って、より性能 の低いモニタ・タイプを選ばなければなりません。 表示がうねっているとか、縁がぼやけているように見えるのは、モニタのタイ ミング値ないしはドット・クロックが間違っていることの明らかな兆候で す。XF86Config の Device セクションにある他の設定オプション同様、ビデ オカードのチップセットを正しく指定したかどうかも確かめてください。特 に、正しい X サーバを使っているかどうか、/usr/X11R6/bin/X がそのサーバ へのシンボリック・リンクになっているかをしっかり確認してください。 いろいろやってもだめだったら、 X > /tmp/x.out 2>&1 のようにして、X を ``生で'' 起動してみてください。そして X サーバを殺 し (ctrl-alt-backspace のキー組み合わせをどうぞ)、 /tmp/x.out の内容を 調べます。X サーバは、全ての警告とエラー - 例えば、モニタがサポートし ているモードに対応したドット・クロックをビデオカードが持っていないなど - をそのファイルに報告しています。 ctrl - alt - テンキーのプラス記号 ないしは ctrl - alt - テンキーのマイ ナス記号 を押せば、 XF86Config のScreen セクションの Modes 行に列記さ れたビデオ・モードを順々に切り替えられることも覚えておいて損はありませ ん。 そのなかで一番解像度が高いモードできちんと見えないようなら、ひとつ低い 解像度に切り替えてみます。そうすれば、少なくともその(解像度の低い)設定 については、ちゃんと動くのだということがわかるのです。 また、モニタの垂直/水平のサイズ/ホールドのツマミをチェックしてみてくだ さい。 X を立ちあげるのに、そのへんの設定が必要なことも多いのです。 ディスプレイの表示が片側にえらくずれているとかいった場合、大概はモニタ のコントロールで直せます。 comp.windows.x.i386unix (訳注: いまでは comp.os.linux.x) は、XFree86 に関する議論のための USENET ニュースグループです。 (訳注: 日本語のニュ ースグループとしては fj.os.linux.setup, fj.os.linux, japan.comp.linux あたりがいいでしょう) このニュースグループで、自分のビデオ関係の設定に 関連した投稿をウォッチするのもいい案です。あなたが抱えているのと同じ問 題を持ったひとに出会えるかもしれません。 4.3. カスタム設定 お持ちのモニタが 1600x1200 の解像度をサポートしているものなら、その性 能を存分に引き出すためには、 X の設定を手でいじらないといけません。 XF86Setup にもともと入っている解像度の上限は 1280x1024 だからです。 こんな場合のようにビデオ設定を手でいじりたい場合は、 LDP の XFree86 Video Timings HOWTO を見てください。(これは XFree86 の `Videomodes.doc' の最新版を HTML にしているものです。) (訳注: XFree86 Video Timings HOWTO 日本語版は ) 4.4. 16 ビットカラーの使用 デフォルトでは、X は 256 色を出せる 8 ビットの色深度を使います。この色 数の制限を回避するため、独自のカラーマップを自分で割り当てているアプリ ケーションも多いのですが、この手の、自分専用のカラーマップを持つウイン ドウにまたがってカーソル(マウスポインタ)を動かすと、急激な色の「すっ飛 び」が起こってしまいます。 WWW ブラウザの Arena が、まさにこうです。 先進的なグラフィック・アプリケーションを使いたいなら 256 色では足りな いでしょう。 16 ビット色深度 (65,536色) が欲しくなるはずです。でも注 意。すべてのアプリケーションが 16 ビットカラーで動くとは限らないので す。 6 万 5 千もの色を表現できる 16 ビット色深度を使うには、単に以下のよう に X を起動すればいいのです。 ______________________________________________________________________ startx -- -bpp 16 ______________________________________________________________________ あるいは、以下の行 ______________________________________________________________________ exec X :0 -bpp 16 ______________________________________________________________________ を .xserverrc ファイルに入れてください。また別のやりかたとし て、XF86Config ファイルの screen セクションに下の記述を入れておく手も あります。 ______________________________________________________________________ DefaultColorDepth 16 ______________________________________________________________________ xdm を使っている場合は、おそらく /etc/X11/xdm に置かれている Xservers ファイルを変更しないとならないでしょう。以下に示すような行 (コメントア ウトされておらず、「活きて」いるもの) に対して ______________________________________________________________________ :0 local /usr/X11R6/bin/X ______________________________________________________________________ 起動時オプションとして ______________________________________________________________________ -bpp 16 ______________________________________________________________________ ______________________________________________________________________ :0 local /usr/X11R6/bin/X -bpp 16 ______________________________________________________________________ 同様に、X 設定ファイルの `screen' セクションに、 Depth の値を 16 とし た Display パートを追加してやらないといけません。一般的には、8 ビット の Display セクションを複製して、 Depth フィールドを変えればいいだけで す。 より多くの色数を使えば使うほど、ビデオカードはより多くのデータを転送す ることになります。あなたのビデオカードがついていけないようなら、解像度 かリフレッシュ・レートを落とすことになります。 XFree86 はデフォルトで は解像度のほうを落とします。もし解像度をキープしたままリフレッシュ・レ ートのほうを落としたいなら、その解像度をより低いリフレッシュ・レートで 定義した、新しい適切な Modeline を XF86Config ファイルに入れてやらない といけません。たとえば、古い値 Modeline "1024x768" 75 1024 1048 1184 1328 768 771 777 806 -hsync - vsync を、新しい値 Modeline "1024x768" 65 1024 1032 1176 1344 768 771 777 806 -hsync - vsync で置き替えるとか。 5. XFree86 を走らせる XF86Config ファイルの設定が済んだなら、もう X サーバを立ちあげてブイブ イ言わせる準備はできてるんです。まず、/usr/X11R6/bin がパスに入ってい ることを確認してください。 XFree86 を起動するコマンドは startx です。これは xinit のフロント・エンドです (ほかの UNIX システムで xinit を使っていた方へ。念のため。) このコマンドは X サーバを起動し、あなたのホーム・ディレクトリにある .xinitrc ファイルのなかのコマンドを実行します。 .xinitrc は、単に X ク ライアントを走らせるためのシェル・スクリプトです。もしこのファイルが無 ければ、システムのデフォルトである /usr/X11R6/lib/X11/xinit/xinitrc が 使われます。 標準的な .xinitrc ファイルはこんな感じです: #!/bin/sh xterm -fn 7x13bold -geometry 80x32+10+50 & xterm -fn 9x15bold -geometry 80x34+30-10 & oclock -geometry 70x70-7+7 & xsetroot -solid midnightblue & exec fvwm2 (訳注: 日本語を使うユーザならば、xterm -fn 7x13bold の代わりに kterm -fn r14 などになるでしょう。) このスクリプトは二つの xterm クライアントと oclock を立ちあげ、ルー ト・ウインドウ(背景)の色を midnightblue にします。それから、シェルの exec 命令によって fvwm2 が実行(exec)されます; こうすることによっ て、xinit プロセスは fvwm2 によって置きかえられます。 fvwm2 プロセスが 終了すれば、X サーバも終了します。 fvwm2 を終了させるにはルート・メ ニューを使います: デスクトップの背景の上でマウスボタン 1 を押し続ける と出てくるポップ・アップ・メニューで Exit Fvwm2 を選べばいいのです。 .xinitrc のなかの最後のコマンドが exec ではじまっていること、バックグ ラウンド実行に移されるようにはなっていないこと (行の終わりに「&」記号 がないこと)を確認してください。さもなくば、.xinitrc ファイルに書かれた クライアントがスタートしたとたん、X サーバが終了してしまいます。 別の方法として、キー組み合わせ ctrl-alt-backspace を押しても X を終了 できます。これは X サーバを直接殺し、ウインドウ・システムを終了させま す。 上に挙げたものは、とても、とってもシンプルなデスクトップの設定です。 .xinitrc ファイルにちょっぴり細工するだけで、たくさんの素敵なプログラ ムや設定が利用可能となります。 X Window System 環境にまだ慣れていないのなら、たとえば The Joy of X: An Overview of the X Window System (Niall Manfield 著、Addison-Wesley 1993 年、ISBN 0201-565129) のような本にあたることを強くお勧めしておき ます。 X の利用と設定というものは、ここでカバーするにはあまりにも深す ぎます。手初めに xterm や oclock, fvwm2 のマニュアル・ページを見てみた りすると手がかりになるでしょう。 5.1. 利用条件 This document is copyright 1996 by Eric S. Raymond. You may use, disseminate, and reproduce it freely, provided you: o Do not omit or alter this copyright notice. o Do not omit or alter the version number and date. o Do not omit or alter the document's pointer to the current WWW version. o Clearly mark any condensed or altered versions as such. These restrictions are intended to protect potential readers from stale or mangled versions. If you think you have a good case for an exception, ask me. この文書は、以下の条件を守る限り、自由に利用、配布、複製して構いませ ん: o この著作権表記を削除または変更しないこと。 o バージョン番号と日付を削除または変更しないこと。 o この文書の最新の WWW バージョンへの位置情報を削除または変更しないこ と。 o 要約または変更されたバージョンは、その旨明記すること。 これらの制限は、この文書について、古かったり変にいじられたバージョンが 出回って読んだ人が困惑する、という可能性からあなたを守るためのもので す。もし、この制限のよい例外にあたるような事情がおありなら、私に連絡し てみてください。 5.2. 謝辞 この文書は Matt Welsh により、闇と遡れる時の深淵より起こされたもの也。 Thanks, Matt! (訳注: XFree86-HOWTO は小島 三弘 氏によっ て和訳が開始され、主に森本 淳 が保守を 行っています。また、 o 佐野 武俊 , o 長谷川靖 , o 藤原輝嘉 , o 武井伸光 o 齊藤 幹 各氏のご助力をいただいております。ここに記して感謝します) 6. 翻訳 o イタリア語 o スロベニア語 o クロアチア語 o オランダ語 o ハンガリー語 o 日本語