UMSDOS HOW-TO Jacques Gelinas, jacques@solucorp.qc.ca v1.1, 13 November 1995 藤井真吾 sfujii@super.win.or.jp v1.1j 13 July 1996 UMSDOS は linux のファイルシステムです。EXT2 ファイルシステムの代わり に利用することができます。最大の目的は同じパーティションを共有すること によって、より簡単に MS-DOS のデータと共存をはかることです。この文書 は、はじめにいろいろな構成での Umsdos の利用法を解説し、そのあとで運用 についての説明をし、これがよい選択肢であることを知ってもらうための情報 を提供します (最後の ``UMSDOS-WHY-TO'' を見てください)。 注意: この文書はかなり以前に書かれたものなので、いまどきの Linux 環境 にはあてはまらない箇所があります。 (JF Project) ______________________________________________________________________ 目次 1. UMSDOS: どこにあるのか? 1.1 歴史 1.2 Availability 1.3 サポートしているディストリビューション 1.4 ホームサイト 1.5 技術文書 1.6 誰が書いているのか 2. ルートパーティションとしての Umsdos 2.1 疑似ルートという概念 2.2 疑似ルートについて知っておくべきこと 3. Umsdos の運用に関するいくつかのトピック 3.1 マウントオプション 3.2 ルートファイルシステムのデフォルトを設定する 3.3 スワップすべきか、せざるべきか 4. Umsdos システムをブートするには 4.1 Loadlin 4.2 フロッピーから 4.3 LILO 4.4 Umsdos パーティションをデフラグメントするには 4.5 Advance tricks 5. 基本原理 5.1 Introduction 5.2 Umsdos は Ms-DOS ファイルシステムの上位互換である 5.3 ディレクトリの拡張 5.4 どのように拡張するのか:/sbin/umssync 5.5 /sbin/umssync をブート時に使う 5.6 拡張を解除するには 5.7 DOS セッションの間に作られたファイルはどうなるのか? 6. インストールとアンインストール、そしていくつかのトリック 6.1 疑似ルート /mnt/linux 6.2 /mnt/linux の準備 6.3 /mnt/linux が正しくセットアップされているか確認する 6.4 疑似ルートを離れるときに...(Oops releasing pseudo root ...) 6.5 Umsdos システムをアンインストールする 6.6 Umsdos システムをほかの DOS ドライブに移動する 6.7 50 台の Umsdos システムをインストールすることについて 7. DOS パーティションに Linux セクションを作成する 8. UMSDOS-WHY-TO 8.1 Umsdos の目標 8.2 誰が必要としているのか 8.3 パフォーマンスについて 9. 日本語訳について ______________________________________________________________________ 1. UMSDOS: どこにあるのか? 1.1. 歴史 Umsdos プロジェクトは 1992 年にスタートし、1994 年の 1 月にパッチの形 で公開され、7 月には 標準カーネルに含まれるようになりました (1.1.36 以 降)。 Slackware ディストリビューションでは、公式カーネルに取り込まれる以前 の早い時期から Umsdos が採用されていました。 Umsdos はカーネル 1.1.60 から改良されはじめ、特に書き込みにおいて、そ のパフォーマンスは劇的に向上しました。1.1.70 (頃)からはまた安定して います。 大きなバグが Linux 1.2.2 で解決されました。このバグははじめからユーザ に悲嘆を与えるものでした(勝手にファイル名が変わってしまい、削除された かのようなひどい印象を与えるもの)。Slackware 2.2 にはカーネル 1.2.1 がついてきますので、まだこのバグがあります。 1.2. Availability カーネル 1.0.x ではパッチの形で提供されていますが、カーネル 1.2 には 組み込まれています。一緒にコンパイルしてしまうことも、モジュールとして 読み込むこともできます。ここで注意しなければならないのは、もし umsdos をモジュールの形で読み込もうとするならば、MS-DOS ファイルシステムもモ ジュールとして扱う必要があることです。これはモジュールシステムの制限に よるものです(モジュールとしてインストールされた時にのみ export される シンボルがあるため)。 1.3. サポートしているディストリビューション Slackware だけだったと思います。たぶん間違っているでしょうから、これ を修正する情報を私に送ってください。[訳注:デフォルトで umsdos ファイ ルシステムへのインストールをサポートしているもの] 1.4. ホームサイト Umsdos のホームサイトは sunsite.unc.edu です。ディレクトリ /pub/Linux/system/Filesystems/umsdos を参照してください。 1.5. 技術文書 Umsdos の内部についての文書はかなりそろっています。ユーティリティと同 じ場所に HTML とテキストのフォーマットで入手可能です。 私の知っている限りでは、HTML バージョンは web サイトにオンラインの形 では提供されていません。ダウンロードして tar 展開してローカルで読まな くてはなりません。 1.6. 誰が書いているのか Jacques Gelinas jacques@solucorp.qc.ca 2. ルートパーティションとしての Umsdos 2.1. 疑似ルートという概念 Umsdos を使えば、Linux を標準 DOS パーティションにインストールするこ とができます。Linux はそのパーティションでの二つ目の(あるいは三つ目 の)OS としてインストールされます。名前の衝突を防ぐために(ドライブ C: に bin や tmp といったディレクトリがすでにあるかもしれません)、Umsdos はスマートなトリックを使います。これが疑似ルートです。 Linux のファイルは全て linux という DOS のサブディレクトリにインス トールされます。普通は C:\LINUX です。Linux/UNIX の正規のディレクトリ 構造がここに作られます。そのため、このようなディレクトリ構成になりま す。 o C:\LINUX\BIN o C:\LINUX\ETC o C:\LINUX\LIB o C:\LINUX\ROOT o C:\LINUX\SBIN o C:\LINUX\TMP o C:\LINUX\USR o C:\LINUX\VAR Umsdos をブートするときに、まずlinux ディレクトリを、それから /linux/etc を検索します。もしこれらのディレクトリが存在すれば、疑似 ルートモードを起動します。 普通擬似ルートモードでは、一般的なUNIXのディレクトリ構成におけるルート ディレクトリに当たるものを C:\LINUXへ配置します。 o /bin o /etc o /lib o /root o /sbin o /tmp o /usr o /var このリストに、DOS というディレクトリが加えられます。これは仮想ディレ クトリです。 2.2. 疑似ルートについて知っておくべきこと o このモードは起動時にのみ有効です。mount コマンドで起動する方法はあ りません。 o このメカニズムは普通の Umsdos ファイルシステムとはまったく別のもの です。つまり、ルートパーティションとして普通に使われているパーティ ションは、マウントはできますが、擬似ルートとしてマウントした時とは 効果が違うという意味です。 [訳注:この文の意味がわからなければ、5. 基本原理 を読んでください ] 例えば、あなたがメンテナンスフロッピーから linux を起動して普通の ルートパーティションを /mnt にマウントすると、全ての linux ディレク トリは /mnt/linux/bin や /mnt/linux/etc などに見えるということで す。 3. Umsdos の運用に関するいくつかのトピック 3.1. マウントオプション Ms-DOS ファイルシステムに対するのと同じマウントオプションを用いること ができます。conv= オプションは Umsdos システムでは問題となりますので避 けた方がよいでしょう。見ておきたいオプションは o uid= o gid= o umask= くらいのものでしょう。 Umsdos で拡張されていないディレクトリに関して は、MS-DOS ファイルシステムと全く同様に扱われます。上のオプションは拡 張されていないディレクトリ全般について適用されます。uid はデフォルトの 所有者を、gid はデフォルトのグループを、 umask はデフォルトのパーミッ ションを設定します。 3.2. ルートファイルシステムのデフォルトを設定する ルートパーティションに関するデフォルトのパーミッションを設定するために は、 umssetup というコマンドを使います。その他の Umsdos パーティション については mount オプションが利用可能で、umssetup も可能です。ルート パーティションでないパーティションについては、/etc/fstab にマウントオ プションを入れておく方がよいでしょう。例をあげます。これを /etc/rc.d/rc.S に入れてください。 /sbin/umssetup -u jack -g group -m 0755 / 3.3. スワップすべきか、せざるべきか スワップファイルを利用すると、普通はスワップパーティションを使う時より 遅くなりますが、柔軟な運用ができるようになります。他の Linux ファイル システムと同様に、Umsdos パーティションの中にスワップファイルを作るこ とができます。例えば、ルートディレクトリに 8 メガバイトのスワップファ イルを作るには、以下のようにします。 dd if=/dev/zero bs=1024k count=8 of=/swap mkswap /swap 8192 sync swapon /swap 一度スワップファイルを作ってしまえば、/etc/fstab にこれを加えることが できます。 /swap swap swap default スワップファイルはブートごとに有効にされます(普通、/etc/rc.d/rc.S に "swapon -a" が入っています)。 4. Umsdos システムをブートするには 4.1. Loadlin lodlin15.tgz というパッケージが sunsite.unc.edu の /pub/Linux/system/Bootutils にあります。このユーティリティは Umsdos シ ステムをブートするにはもってこいです。普通は以下のようにします。 DOS をブートします C:>loadlinx zimage root=D: [訳注:C ドライブのあるディレクトリに loadlinx.exe と zimage があると 仮定。詳しくは loadlin のドキュメントを参照] ここで、zimage は普通の(圧縮された)カーネルイメージで、単に DOS ド ライブのどこかにコピーされたものです。D: は Linux をインストールした DOS ドライブです。 4.2. フロッピーから Umsdos システムをブートするのは、Ext2 システムをブートするのと何ら変 わりはありません。カーネルイメージ zImage に、Umsdos のルートパーティ ションがどこにあるか設定しておく必要があります。これは普通コマンド rdev でできます。以下の手順で zImage を初期化しフロッピーに格納しま す。 rdev zImage /dev/hda1 rdev -R zImage 0 dd if=zImage bs=8192 of=/dev/fd0 もしこれが煩わしく思えたなら、起動可能な DOS フロッピーを作って以下の ファイルをそこに入れてしまってください。 o loadlin.exe o loadlinx.exe o zimage そして、autoexec.bat にこのように記述します。 loadlinx zimage rw root=C: 4.3. LILO Linux の公式ブートローダである LILO も Umsdos システムをブートするの に利用できます。しかし私は実際に経験したわけではありません。1.1.60 以 降で、利用できるはずです。何か知っていることがあったらメールをくださ い。 4.4. Umsdos パーティションをデフラグメントするには ポピュラーな DOS ツールでデフラグメントできます。Umsdos で提供されて いるファイルには悪い影響はありません。Umsdos は DOS のファイルシステム 以上に特殊なこと(ディレクトリレイアウト、ディレクトリエントリの順番、 等)を要求しません。 私の知っている限りでは、Linux 上でデフラグメントしてくれるツールはあ りません。 4.5. Advance tricks Umsdos は DOS ディレクトリにある --linux.--- によって成り立っていま す。ちょっとした実験をしてみたくなるかもしれません。umssync や umssetup と共に umsdos_progs パッケージに入っている、udosctl という ユーティリティを使えば、 --linux.--- や DOS ディレクトリとは無関係に、 リストをとる、削除するといった基本的なディレクトリ操作を行うことができ ます。 5. 基本原理 5.1. Introduction Umsdos は Linux のファイルを直接 Ms-DOS ファイルに割り当てます。これ は一対一の対応で、ファイルの内容には全く手をつけません。Umsdos はファ イル名についてのみ取り扱います。リンクやデバイスファイルなどの特殊ファ イルについては、また別の扱いをします。 それぞれのディレクトリに、--linux-.--- という名前のファイルが置かれま す。 5.2. Umsdos は Ms-DOS ファイルシステムの上位互換である Umsdos は linux の Ms-DOS ファイルシステムの上位互換を目的としたもの ととらえることができます。ところが実際には、この能力と柔軟性が Umsdos に関しての混乱を引き起こしてもいます。ここに理由が書いてあります。新し くフォーマットされた DOS フロッピーをこのようにマウントしてみましょ う。 mount -t umsdos /dev/fd0 /mnt そして、こうします。 ls / >/mnt/LONGFILENAME ls -l /mnt このような結果が得られるはずです。 -rwxr-xr-x 1 root root 302 Apr 14 23:25 longfile これだけを見ると、Linux の MS-DOS ファイルシステム以上のことをやってい るようには見えないでしょう(実際何もやっていないのですが…)。 ??? 5.3. ディレクトリの拡張 これだけでは何も面白くないですね。ここにトリックがあります。Umsdos は、拡張しない限り、DOS のディレクトリを Ms-DOS ファイルシステムと同じ 方法で扱います。Umsdos は Umsdos で拡張された機能(長いファイル名、所 有者、など)を制限された DOS ファイルシステムに変換するために、サブ ディレクトリごとに特別なファイルを作ります。このファイルは Umsdos の ユーザには見えませんが、DOS をブートすると見えるようになります。DOS パーティションにこのファイル (--linux.---) が必要以上にちらかるのを防 ぐために、拡張するかどうかは選択できます。拡張しなければ、Umsdos は Ms-DOS と同じように振る舞います。 ディレクトリを拡張してしまえば、Linux や Unix のユーザには表面的には完 全に違和感なく操作できます。拡張されたディレクトリにサブディレクトリを 作ると、自動的に拡張されます。 この機能により、DOS のパーティションを DOS の部分と Linux の部分とで きちんと整理することができます。これらの --linux.--- ファイルはいくら かの空間(普通ディレクトリあたり 2k)を利用することを理解しておかねば なりません。DOS は普通大きなクラスタ(500 メガのパーティションなら 16k もの大きさ)を使うので、全ての場所に --linux.--- を入れるなどというこ とをしなければ、ディスクを節約できるでしょう。 5.4. どのように拡張するのか:/sbin/umssync ディレクトリは、/sbin/umssync を使うことでいつでも拡張できます。いつ でも使うことができます。ディレクトリの拡張では以下のようなことが行われ ます。 o --linux.--- を作る o --linux.--- と現在のディレクトリの中身との一対一対応を確立する /sbin/umssync は、すでに --linux.--- が存在する場合は、それを作りなお しはせずに、アップデートだけ行います。その中の抜けているエントリ(DOS セッションで作られたファイル)を加えるだけです。その DOS ディレクトリ にもはや存在しなくなったファイルは、--linux.--- から削除されま す。umssync という名前は、それが --linux.--- を元の DOS ディレクトリの 内容と一致させるところからきています。 5.5. /sbin/umssync をブート時に使う もしまだなら、/etc/rc.d/rc.S の最後で /sbin/umssync を呼ぶのはいいア イデアです。多くのシステムでは、以下のコマンドでうまくいくでしょう。 /sbin/umssync -r99 -c -i+ / -c オプションは umssync にディレクトリの拡張をさせないオプションで す。すでに存在する --linux.--- をアップデートするだけです。 このコマンドは DOS セッションの時に Linux ディレクトリにアクセスした 場合に有効です。Linux には DOS によってディレクトリが変更されたことを 知る効率的な方法がないので、必要に応じて(自動的に) umssync を起動する ことは出来ないのです。 5.6. 拡張を解除するには DOS を使って --linux.--- を削除してください。きっと後悔するでしょう。 5.7. DOS セッションの間に作られたファイルはどうなるのか? DOS によってファイルが加えられたり削除されたディレクトリで umssync を 実行しないと、いくつかの問題にぶつかります。 o システムを破壊することも大きな問題が起こることもないが、面倒だろう :-) o DOS によって作られたファイル o これらは Linux からは見えない。 o (見えないファイルと)同じ名前のファイルを作ろうとすると、ファイル がすでに存在するというエラーメッセージが出る。 o このことで実際に問題があると勘違いして混乱する。ファイルシステム 自体には害を及ぼすことはない。 o DOS によって削除されたファイルは問題を起こさない。Umsdos は最初のア クセスでファイルがなくなっていることを検知する。メッセージが出力さ れるだろう(そして普通は /var/adm/syslog に書き込まれる)。 6. インストールとアンインストール、そしていくつかのトリック Umsdos のインストールは普通の(Ext2 ベースの)Linux システムと大差あ りません。 大きな違いは二つです。 6.1. 疑似ルート /mnt/linux インストールの典型的な手順は以下のようなものです。 1. fdisk でパーティションを設定しフォーマットする。 2. ルートディスクを /mnt にマウントする。 3. パッケージをすべて /mnt にコピーする。 Umsdos では、step 1 は必要ありません(再フォーマットしないことが Umsdos の目的でしたね?)。 単にすべてのパッケージを /mnt にコピーするだけで Umsdos システムをイ ンストールすることができます。これで確かに動きます。しかし DOS のルー トディレクトリ(C:\)に一群のサブディレクトリを作るので、それが気に入 らないかもしれません。それが疑似ルートを使って Umsdos のインストールを 行う理由です。そしてこれが Ext2 のインストールと Umsdos のそれとの大き な違いです:(疑似ルートを使うと)すべてのファイルは /mnt/linux にコピー されます。 6.2. /mnt/linux の準備 /mnt/linux は一般的なディレクトリではありません。正しく Linux の長い ファイル名や特殊ファイル(リンク、デバイス)を正しく扱うために、ディレ クトリの拡張を行わねばなりません。/mnt/linux を拡張するのに必要な手順 は以下の通りです。 1. mkdir /mnt/linux 2. umssync /mnt/linux これだけです! 6.3. /mnt/linux が正しくセットアップされているか確認する /mnt/linux のセットアップは上のように簡単なのですが、インストールパッ ケージの中にはいまだに間違っているものがあります。どうしたものでしょ う。 インストール上の最大の問題は umssync プログラムの非互換性から生じま す。 Umsdos は linux 1.1.88(はっきりとは思い出せません)にアップデー トされ、 umssync の欠点はカバーされていないのです。Linux コミュニティ の混乱を避けるために、必要とされる互換レベルというものをすべての Umsdos ツールにつけることにしました。古いバージョンのツールは単に排除 されます。 これは多くのディストリビューションがインストールディスク上の umssync ユーティリティをアップデートしていないからだと思います。 このようなインストールパッケージがいまだにたくさんあるのです。結果とし て /mnt/linux が全く拡張されないため、長いファイル名が切り捨てられた り、特殊ファイルが作成できなかったりします。 何かうまくいっていないことがあるかどうか、インストールの最初にテスト することも可能です。Linux の仮想コンソールのメカニズムのおかげで、イン ストールプログラムを終了することなくこれを行うことができます。以下の手 順を実行してみてください。 1. Alt-F2 を押す(Alt キーと F2 キーを同時に押す) 2. root としてログインする 3. cd /mnt/linux この作業を早くやりすぎると失敗します。パッケージの選択を終了した時 点でこの作業を行なうのが適当でしょう。 4. >TOTO 5. ls -l TOTO という大文字の名前の付いた空のファイルがあるでしょう。小文字 で見えたなら、それは何かうまくいっていないということです。umssync のステップをもう一度実行してみてください。umssync は何回やっても問 題は起きません。 umssync . もしエラーメッセージがでなかったら、もう一度 TOTO テストをやってみ てください。もし TOTO がきちんと表示されたら、万事 OK です。このイ ンストールで何かがおかしくても、単にほおっておきます。続けましょ う。 6. Alt-F1 を押してインストール画面に戻る もしテストに失敗したら、新しいルートディスクを使うことが一番よい解決 方法です。新しいバージョンの umssync をルートディスクに入れることによ り解決できるでしょう。これは難しくありませんが既に稼働している Linux システムが必要になります。単にルートフロッピーディスクをマウントして、 うまくいかない umssync を新しいものと取り替えればよいのです。 6.4. 疑似ルートを離れるときに...(Oops releasing pseudo root ...) Umsdos のインストールが失敗する時には、大抵この奇妙なメッセージが表示 されます。このメッセージは奇妙なものに見えますが、Umsdos のバグではあ りません。考えられる原因は次のとおりです。 o もっとも一般的なもの Slackware のインストーラはインストールの非常に早い段階でスワップ ファイルを設定しようとする。そのために、パーティション(dos ドライ ブ)を選択するように求められる。そのあと、パーティションをマウント し、スワップファイルを設定する。 Slackware システムのインストールでは、インストールに先だって目的の パーティションをセットアップしなければならない。普通 DOS パーティ ションを /mnt にマウントし、/mnt/linux ディレクトリをつくってそこで umssync を実行する。 ほとんどの問題はここで起こる。ほとんどのユーザは "setup target partition" のステップを忘れてしまい、残りのインストールに直接行って しまう。/mnt がすでにマウントされているためにこの誤りは見過ごされて しまう。これは /mnt/linux が正しく作られない(拡張されない)ことを意 味する。すべての特殊ファイルとリンク、そして長いファイル名が正しく 作られない。 o 無効な umssync ユーティリティ /mnt/linux が正しくセットアップされていない。普通、インストールルー トディスクに入っている umssync ユーティリティによって引き起こされ る。 o umsdos の古いバグ Linux 1.2.2 以前の Umsdos にはバグがある。ファイル /etc/init がない と疑似ルートモードが正しく起動されない。init は今 /sbin に入ってい る。新しいカーネルを入手することで解決できる。ほかのバグもカバーさ れていないし、それが 1.2.2 で解決されているので、こうするのがいいだ ろう。 もしアップグレードできないのなら、以下のようにしてください。 1. インストールディスクからブートする 2. root としてログインする 3. mount -t umsdos /dev/hdXX /mnt ここで、/dev/hdXX は DOS パーティション 4. cd /mnt/linux/etc 5. ln -s ../sbin/init init 6. cd / 7. Ctrl-Alt-Del 8. Umsdos は正常に立ち上がる 残念なことに、最初のふたつ (インストールの問題) が起こった場合、インス トールが不完全なままになります。その場合は、一旦それをアンインストール して ( 手順は次章で説明します)、再度インストールしなおしてください。 6.5. Umsdos システムをアンインストールする Umsdos とその疑似ルートメカニズムのおかげで、何の害もなくアンインス トールできます。DOS をブートし、linux ディレクトリを再帰的に削除するだ けです。それだけです。Umsdos は config.sys に特別なドライバを必要とし ませんし、linux ディレクトリの外に何か特別のものを作ったりもしません。 6.6. Umsdos システムをほかの DOS ドライブに移動する これは Linux からでも DOS からでもできます。linux ディレクトリを再帰 的に一つのドライブからほかのドライブに移すだけです。その後、ブートの手 順(普通、 loadlin コマンド)と /etc/fstab ファイルを変更する必要があ るでしょう。 Umsdos はどの DOS ドライブにも置くことができます。C: ドライブにインス トールする必要はないし、一台目のハードディスクドライブにあるかどうかも 重要ではありません。これは全く問題になりません。 実際、いくつかの異なったドライブに Umsdos のインストールをしてみるとい う実験さえできます。 6.7. 50 台の Umsdos システムをインストールすることについて 時間のないときに一抱えの Linux システムをインストールするのはどうで しょう? Umsdos システムは DOS の世界で生きています。Linux を簡単にインストー ルしたいならこれは有利でしょう。 あなたのサイトで Umsdos システムをインストールし、設定することができ ます。あなたの選んだパッケージと設定に満足がいっているなら、DOS をブー トして linux ディレクトリのすべてを DOS サーバにコピーすることができま す。そして、あなたは別の DOS ステーションに行き、ネットワークドライブ からローカルドライブにファイルをコピーするだけです。これだけです。ブー トスクリプト(Loadlinx)を修正して起動できます。 最小限の修正(ホスト名、IP アドレス)をすれば、誰でも簡単に、数分で Linux システムをインストールできるでしょう。 賢明なる読者は、Ext2 ベースのものも含むどんな Linux システムでも、稼働 しているシステムをコピーすることでインストールできることに気付くかも知 れません。 何をしているかわからないインストーラによって、知らないうちに隠しファイ ルがインストールされることがないのは、Linux の美点の一つです。 7. DOS パーティションに Linux セクションを作成する Umsdos は、Ext2(native な Linux ファイルシステム)のユーザも使うこと があるかもしれません。よくあるシナリオはこのようなものでしょう: o Linux が気に入っていて、日に日に Linux パーティションがいっぱいに なっている。 o DOS パーティションが半分空のまま、ほこりをかぶっている。 o 突然 Ext2 パーティションの空き領域がなくなってしまった。 o DOS を捨ててもいいものか決めかねている このような時、Umsdos で急場をしのぐことができます。DOS パーティション を Linux パーティションとして使うことができ、しかもそれによって Linux の機能が制限されるということもありません。たとえば、C: ドライブに "extra" という名前の新しいディレクトリを作成したいとしましょう。そして このディレクトリを普通の Linux ディレクトリとして利用したいとします。 こうしてください(C: は /dev/hda1 と仮定します) mkdir /c /sbin/mount -t umsdos /dev/hda1 /c mkdir /c/extra umssync /c/extra これを実行するには root でなければなりません。 /etc/fstab をこのように設定することで、常時 /c/extra ディレクトリにア クセスできるようになるでしょう。 8. UMSDOS-WHY-TO Umsdos システムをどのように操作またはインストールするのかについての説 明は十分とは言えません。ほとんどの人は Umsdos を使うか使わないかについ ていくらかのアドバイスを求めています。 8.1. Umsdos の目標 Umsdos の目標は Linux のインストールを簡単にすることです。もう一つの 目標はアンインストールを簡単にすることです。このアイデアは Linux の普 及を促進するためのものです。システムに新しい OS をインストールすること はいつでも面倒なことです。OS/2 などは一群の新しいディレクトリで C: の ルートを汚してくれます。もし私のように器用であれば、config.sys や autoexec.bat さえも消してしまうかもしれません。:-( Umsdos の疑似ルート機能がこのお呼びでない侵入を防いでいます。Linux は 副作用なしにアンインストールできます。 8.2. 誰が必要としているのか 持っているハードディスクの容量が小さい場合は、Umsdos によって DOS と Linux でディスクスペースを共有することが可能になります。私の意見では 300M 以下が小さなディスクです。この意見は今入手可能ないろいろなパッ ケージのサイズによるものです。あるポピュラーなワードプロセッサはすべて の機能を選択すると 70 メガバイト程度を消費してしまいます。 持っているハードディスクの容量が大きい場合は、Ext2 ファイルシステム上 に Linux 専用のパーティションを作った方がいいかもしれません。Ext2 は DOS よりは比較的小さなクラスタサイズ(つまり 1k)を使うため、小さな ファイルをたくさんインストールするときに Umsdos パーティションよりは小 さなスペースしか消費しません。 8.3. パフォーマンスについて Umsdos と Ext2 を比較すると、次のようになります。 o ディレクトリの扱いが Ext2 の方が速い。これは Umsdos の二重のディレ クトリ構造によるオーバーヘッドが原因である。 o ファイルアクセス(読み、書き)は Ext2 よりおそらく速いだろう。これ は DOS に採用されている FAT ファイルシステムが単純だからである。 上の利点には犠牲が伴っていることに注意: o 一つのパーティションに 65,000 くらいのファイル、またはクラスタが 最大である。このことは 500 メガバイトのパーティションが 16k の大 きさのクラスタを使うことを意味する。言い方を変えると、1 バイトの ファイルでも 16k のディスク容量を使ってしまうことになる。 o すべてはハードディスクの最初にある FAT によってコントロールされ ている。DOS ファイルシステムはこのことにより比較的もろいものだと 言える。 o ファイルのフラグメンテーションを避けるための方法がない。Umsdos システムは普通、シングルユーザのワークステーションとして使われ る。このケースでは、大した問題にはならない。マルチユーザエンジン としては、ファイルはドライブ一杯に広がり、ファイルアクセスのパ フォーマンスを落としてしまう。 o シンボリックリンクが普通のファイルとして格納される。もしたくさんの リンクを張ると、Ext2 と比べて Umsdos は大変多くのディスクスペースを 使うと感じるだろう。 9. 日本語訳について 訳者:藤井 真吾 28 July, 1996 日本語版は JF-ML のサポートのもとで藤井が行いました。誤訳の指摘やご意 見などは訳者までご連絡ください。 (SGML conversion: y.senda 2001/08/30)