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16. 次の一歩

どうでしたか?たいていの人はこれでネットワークが稼動しはじめたと 思います。まだの人は多分なにか設定を間違えているのでしょう。 かっかしないでコーヒーでも飲んで休むと、あっさり間違いが見つかっ たりします。それでもだめなら一週間ほど寝かせてみると、自分の 誤りも見つけやすくなります。

さて、端末を使って Windows 95 から Linux を使えるようになりました。 ファイル転送もできるようになりました。で、次は?

焦る気持ちも分かります。この先、だんだんと手をかけることは 増えてきます。本も読まなければなりません。HOWTO 文書も どんどん読まないといけないでしょう。実はそうやって、 先へ先へと自分の力で進めるのが Linux の面白いところ です。きっと何年もの間没頭できるほどやることはあるのですが、 いくつか面白そうな話しを挙げてみましょうか。

16.1 ファイル共有

やっぱり何といっても興味深いのはファイル共有でしょう。 MacOS を使っている人は 1992 年頃 から漢字Talk 7.0 がファイル共有を標準で提供してくれています。 Windows を使用している人も英語版なら Windows for Workgroup か ら、日本語版なら NT からファイル共有ができるようになりました。

ファイル共有は、あるコンピュータのファイルやディレクトリーを、 まるで他のコンピュータのディスクの上にあるように見せる仕掛けです。 たとえば、Linux の /pub ディレクトリを Windows95 の p: ドライブの ように使用できます。こうすれば、いったん ftp でファイルを読み込ま なくても普通の Windows アプリケーションで Linux 上のファイルを 読み書きできます。

Linux ではどうなのでしょうか?できます!Linux のディレクトリを Windows 95 のネットワークドライブとして見せるソフトがあります。 それだけじゃなく、Linux のディレクトリを MacOS のネットワークボ リュームとして見せるソフトもあります。この二つを組み合わせれば、 Linux を軸にして MacOS と Win95 の間でデータのやり取りを簡単に 行えます。

「そんなの Windows NT Server でもできるよ。」 はい、よくご存知ですね。そんなによくご存知なら、Windows NT Server のお値段もご存知ですね。

Linux にはフリーウェアのネットワークファイルサーバーソフトが あります。Windows 95 / NT 用には samba、MacOS 用には netatalk です。このどちらも、Linux を印刷サーバーにする ことができます。

16.2 samba

samba はオーストラリアで開発されたネットワークファイルサーバーソフトです。 samba を使えば、samba が走っている機械のファイルシステムを、Windows 95 や、Windows NT から使用することができます。Windows 側では特別なソフトを 導入する必要はありません。95 なら、「Microsoft ネットワーククライアント」 という、紛らわしいことこの上ない名前のクライアントサービスをネットワーク コントロールパネルから導入するだけです。そうして、このクライアントサービスは 、Microsoft の純正品であり、Win95 にははじめから付いてきます。おまけに NIC を導入した段階で、気を利かしてハードウェアウィザードが勝手に導入して しまいます。

samba は、実に快適なソフトです。設定のための HOWTO 文書類がいくつか 翻訳されており、英語が苦手な人でも割合気安く導入できます。また、私は 利用していませんが、Linux プリンタを Windows から使用することができます。

samba は最近の Linux の配布 CD-ROM にも入っていることがあります。 また、そうでない場合も、インターネット経由で ftp を使用してソースコード を入手できます。

16.3 netatalk

netatalk はアメリカで開発されたネットワークファイルサーバーソフトです。 netatalk を使えば、netatalk が走っている機械のファイルシステムを、MacOS から使用することができます。MacOS 側では特別なソフトを 導入する必要はありません。すでに述べた Open Transport 設定をさらに 行うだけです。samba は、Mac のファイルのリソースフォークをLinux の 隠しファイルとして処理してくれるほか、Unix が作ったファイルの拡張子から Mac 向けに type/creator 情報まで追加してくれます。

netatalk も HOWTO 文書が翻訳されていますので、導入に関して特に 難しい点はありません。また、ちょっと前まで、netatalk を利用して Linux 上に作った Mac のフォルダーが samba 経由で利用している Win95 から見えないことがあるという問題がありましたが、これは samba 側が漢字ファイル名の処理方法のオプションを増やしたため 解決しました。詳しくは netatalk-HOWTO の日本語版をご覧ください。

netatalk と同様のソフトとして、cap というのもあります。

16.4 X端末

ほとんどの皆さんは、Linux の導入が終わるとごく当たり前に X を導入 するようです。ウィンドウもバンバン開けるし、マウスは使えるはワーク ステーション気分ですし、いい事ずくめです。ですから、みんなネットワーク より先に X を…なんで「次の一歩」かって?

もともと X 端末はクライアントサーバー式のグラフィック環境なんです。 めちゃ速の計算サーバーを中心に、利用者の相手などという些末の 事は遅い端末計算機に任せようというのが発想です。ですから、X の サーバーは、クライアント(計算サーバー)から離れていてもいいのです。 そう、ネットワークでの運用ですね。

こたつに潜り込んでノートパソコン上の X 端末を操作しながら、 隣の部屋のペンティアム機でカーネルビルドなどどうでしょう。

私は、会社の HP 製計測器が X クライアントになると知ったとき、 あまりの嬉しさにオフィス中にネットワークをひくことを計画しました。 (そして実現しました)

16.5 DNS

DNS は、この文書で徹底的に無視したソフトです。DNS は、Domain Name Server の略で、この文書では hosts ファイルでちまちま定義した IP アドレスと コンピュータの名前の関連づけをサーバーコンピュータで行うソフトです。 そうして、他のコンピュータはこのサーバーに問い合わせを行うのです。

Unix で育った他のいくつかのソフトウェア同様、 DNS も今やネットワーク に不可欠なソフトウェアになっています。一般利用者が DNS の存在に 気づくことはめったになく、それゆえ、sendmail 同様、名前ばかりが 普及して、実際に何を行っているのかを知っている人は少ないです。

DNS の設定は面倒なため、家庭内 LAN ではあまり使用する気もおきない かもしれません。 しかし、Windows 95 も MacOS も DNS クライアントとしての機能をちゃんと 持っていますので、次なる目標として面白いかと思います。DNS の 設定に関しては、いくつかの本で触れられていますし、最近では パソコン雑誌の PC Unix 特集でも設定に関して説明が載ることが あります。

16.6 DHCP

DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) は、ネットワーク上の コンピュータの IP アドレスまでも、一台のサーバーが割り振ってしまえる プロトコルです。このプロトコルは、以前から Unix で使用されていた bootp というプロトコルの拡張版です。日本の WIDE プロジェクトが 実装した DHCP サーバーがありましたが、Linux 上には移植されてい ませんでした。しかし、最近になって bootp デーモンを拡張した DHCP が Linux 用に公開されています。

この仕掛けも家庭内 LAN では必要ありませんし、サーバーが 常にクライアントより早く立ち上がっていなければならないという 非常に厳しい運用上の制限があります(私のサーバーはAm5x85 133MHz なので、必ずしもクライアント機である P5-133 より 早く立ち上がっているわけではありません)。 しかし、挑戦課題としては面白いと思います。


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